米下院の「米国と中国共産党の戦略的競争に関する特別委員会」(米中戦略競争特別委員会)のマイク・ギャラガー委員長は、「米議会議員と職員全員が中国のターゲットであると想定するのが合理的だ」と警告している。写真はマイク・ギャラガー米下院議員(Anna Moneymaker/Getty Images)

中国特別委のギャラガー委員長、台湾抑止力強化のため「ハードパワー」必要

米下院議会では来年1月に始まる新議会で、中国問題に取り組む「中国特別委員会」を新設する。委員長は海兵隊情報司令官も務めた若干38歳のマイク・ギャラガー議員だ。特別委は米中関係のさまざまな問題を、台湾、経済、人権問題の3分野に分け、対中圧力を強めていくという。

米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)のインタビューに答えたギャラガー氏は、中国が軍事的威圧を強める「台湾の短期的な抑止力」を実現することが喫緊の課題だと訴えた。中国軍を抑止するため、「台湾周辺におけるハードパワー」強化にも言及した。

3期目を迎えた習近平政権が台湾侵攻を早める可能性が高いとの見方を示し、2024年の台湾総統選挙後に両岸情勢は最も危険な時期に入ると分析した。

ギャラガー氏は5月、中国による台湾侵攻抑止を念頭に、緊張状態にある国家間の紛争抑止にはソフトパワーだけでは対処できず、ハードパワーは解決策に繋がるとシンクタンクの講演で語っている。具体的には、インド太平洋地域における軍需品備蓄を整えた基地に加え、潜水艦や特殊作戦要員、他の部隊が必要だと述べた。

国際関係学博士号を持つギャラガー氏は、米海兵隊情報司令官としてイラクに派遣されるなど、外国政府・組織によるスパイ活動を監視する部門に所属していた。下院軍事委員会メンバーも務め、対中強硬派で知られる。13日には、中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)が運営する動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の使用を禁止する法案を提出した。

米保守系メディアから共和党の「将来の政治スター」とも例えられるギャラガー氏は、中国共産党がなぜ最大の脅威であるかを周知することが特別委の初期の課題としている。「地政学的な懸念と国民生活を結びつけて説明していく」とし、連邦議会のみならず全米各地で聴聞会を開くという。

経済面でのデカップリングの重要性も強調した。「納税者のドルや退職年金が、中国の軍事的近代化や大量虐殺の資金として使われることを望んでいない。ウイグル強制労働防止法や輸出管理改革法など、最近成立した法案を実行に移すことが大きなポイントになる」

中国の人権問題については、「政権の悪質な行動をいかに暴くか、中国共産党のむごたらしい人権記録をいかに米国国民に伝えるかが重要だ」と強調した。

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