マット・ポッティンジャー元米大統領副補佐官(Photo by Win McNamee/Getty Images)

台湾有事なら…米軍に「介入の軍事計画ある」=米元高官

米国家安全保障会議(NSC)のアジア太平洋上級部長だったマシュー・ポッティンジャー氏は12日、米インド太平洋司令部は突発的な事態を想定して、いくつかの軍事介入計画を策定していると明らかにした。

トランプ前政権の国家安全保障担当高官だったポッティンジャー氏は、台湾国立政治大学社会科学院の対談会に出席。台湾海峡の危機の発生には、日米豪韓などの意思疎通が鍵となり、それぞれの責任や役割を明確にしなければならないと指摘した。

バイデン大統領は4度にわたり、台湾有事の際に米軍を派遣する意向を表明している。これについてポッテンジャー氏は、米国憲法の下では外交政策は大統領に委ねられているため、バイデン氏の発言には象徴的な意味があると述べた。

米有力シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)は2026年に中国が台湾に侵攻した際の戦争シミュレーションを行った結果を発表した。それによれば、中国が勝利する可能性は低いが、米国、台湾、日本そして中国軍はいずれも数千人の死傷者が出ると推計した。

前出のCSISのシミュレーションによれば、台湾有事なら日米は甚大な損失を被る。「何十隻もの艦船、何百機もの航空機、そして何千人もの軍人を失う。何年にもわたって米国の世界的な地位を損なう損失となるだろう」と報告書は述べている。

中国側の被害も「海軍は壊滅状態となり水陸両用部隊の中核は崩壊し、何万人もの兵士が捕虜となる」と述べた。約1万人の中国軍兵士が死亡し、155機の戦闘機と138隻の主要な艦船を失うと推定した。

兵役義務の延長

緊迫化する台湾海峡情勢について、最近、米政府元高官らが相次ぎ台湾を訪問し意見を述べている。元国防総省インド太平洋次官補ランドール・シュライバー氏も11日に訪台し、蔡英文総統と面会した。兵役義務期間延長を含む防衛改革を進める蔡氏の決定に支持を示した。

中国共産党の脅威の高まりを受けて、蔡英文政権は2024年1月より2005年以降に生まれた男性の兵役義務期間を4カ月から1年に延長することにした。 

在台中に開いた記者会見で、シュライバー氏は戦争回避が何よりも重要であり、米国は台湾の安全を保障することであると強調した。抑止のため、侵攻の代償の大きさを中国共産党に明確に伝えるべきだと述べた。

中共、「台湾で偽情報をしきりにまき散らす」

台湾の武力侵攻の可能性も辞さないとする中国共産党はハード面のほかソフト面といった「認知作戦」も行っている。「対米不信論」を広め、米台関係を仲違いを生じさせようとしていると専門家は指摘する。

シュライバー氏と共に訪台した米シンクタンク、エンタープライズ・インスティチュート(AEI)の上級研究員ダン・ブルーメンソール氏は、中国は台湾を孤立化を試しており、台湾に対して「台湾には希望がない」、「米国は信頼できるパートナーではない」というような偽情報をしきりにまき散らしているという。こうした心理戦の脅威も、米台が共に対処しなければならない挑戦だと述べた。

ブルーメンソール氏は、米国は台湾人に希望を与え、中国の台湾に対する孤立を打破しなければならないと述べた。軍事協力に加えて外交や情報交流など多元的な協力を行い、中国共産党の心理戦や認知戦に対応すべきだと語った。

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