2019年10月8日、押収されたフェンタニルなどを確認する麻薬取締局(DEA)の化学者 (Don Emmert/AFP via Getty Images)

米国で蔓延するフェンタニル…米下院議員「責任は中国に」

米国では鎮痛剤フェンタニル中毒による死亡者の急増が大きな社会問題となっている。こうしたなか、ポール・ゴーサー下院議員は、全米におけるフェンタニルの蔓延に中国は責任を負うべきだと強調した。

ゴーサー氏は、米ステイト・ニュースワイヤーに寄せた16日付の声明の中で、中国が違法に製造し米国に密輸されたフェンタニルは「米国の薬物危機を助長している」と指摘。「中国はその役割について責任を負わなければならない」と断じた。

麻薬取締局によると、オピオイドの一種であるフェンタニルはヘロインの約50倍強力と言われており、米国でこれまでに最も多くの死者を出している違法薬物だ。2022年に押収したフェンタニルは、錠剤で5060万錠に上り、3億7900万人分の致死量に当たる。同当局は12日、約3億3000万人の米国人の「命を奪うのに十分な量」だと危機感をあらわにした。

米中経済・安全保障問題検討委員会(USCC)は2021年に発表した報告書の中で「米国に流入する違法なフェンタニルおよび関連物質の主な供給源は中国」と指摘した。大半がメキシコ経由で米国に流入されているが、この分野における中国共産党政権の協力は「限定的」と強調。中国規制当局はフェンタニル原料の製造場所への立ち入り検査を妨害し、違法業者の隠蔽工作を可能にしていると述べた。

米シンクタンク・ブルッキングス研究所の報告書によれば、化学物質の輸出で世界をリードする中国には16万から40万の化学物質製造・販売業者が存在しているが、その多くが違法に活動しているという。

こうした状況を受けて、ブリンケン国務長官は昨年5月「中国起源である前駆体化学物質が国際麻薬密売組織に渡らないようにしたい」と発言した。

また全米50州のうち18州の検事総長は、違法なフェンタニルを大量破壊兵器として指定するよう要請する書簡をバイデン大統領に送ったほか、下院でも同様の法案が提出されている。

いっぽう、ゴーサー氏はフェンタニルが米国に流入するのを阻止するため、国境を封鎖し、直ちに対策を講じるよう大統領に求めている。

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