キャピトル・ヒルで発言するマルコ・ルビオ米上院議員。2022年5月17日撮影 (Anna Rose Layden-Pool/Getty Images)

米上院議員「早急な対中制裁策定を」台湾有事に備え

米国のマルコ・ルビオ上院議員らは3月30日、中国共産党による台湾侵攻に対する米国の対応策を策定する法案を提出した。緊急時の対応計画を強化することで、米国と同盟国への経済損失や打撃を最小限に留めることを狙う。

法案は、国防総省や商務省などの政府機関が台湾侵攻時の米国の対応計画を議会に報告することを義務付ける。これには、中国共産党に対する制裁措置や中国による報復措置の回避、戦略的資源の輸入依存、経済回復力を強化する内容が含まれる。

ルビオ氏は声明の中で、迫りくる台湾有事に米国と同盟国は備える必要があると強調。「大量虐殺を行う中国共産党に依存している今、米国は中国共産党の敵対行為に対応する戦略を練る必要がある」と述べた。

法案を共同提出したゲーリー・ピーターズ議員も「米台関係は極めて重要だ。他国の主権を脅かす中国共産党のようなならず者から台湾を守らなければならない。超党派法案は、こうした不測の事態に備えるものだ」と意義を強調した。

米中央情報局(CIA)のバーンズ長官は2月、中国の習近平国家主席が2027年までに台湾侵攻の準備を行うよう軍に指示していると述べた。2027年は習氏が3期目の任期を終える年で、米インド太平洋軍のデービッドソン前司令官も、台湾侵攻について「2027年までに脅威が顕在化する」と発言している。

中国関連の研究を専門とするシンクタンク、ロディウム・グループによれば、中国が台湾を封鎖した場合、全世界で生じる経済損失は2兆ドル以上に上るという。

下院でもクリス・スミス議員らによって同様の法案がされる予定だ。同氏は「明日の不測の事態に備えて今日の計画を立てることは、中国への抑止力にもなる」と述べた。

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