LGBT法案をめぐっては、当事者団体は一部の「活動家」が議論をかき乱していると指摘している (Photo by YUICHI YAMAZAKI/AFP via Getty Images)

LGBT法案に当事者から「待った」 推進運動の背後に活動家の影

2月から議論が再燃したLGBT法案をめぐって、当事者団体は拙速な議論に異議を唱えている。5日に厚生労働省で行われた会見では、法案成立を求める「LGBT法連合会」は当事者の代表ではないとの声が上がり、一部の「活動家」が議論をかき乱していると指摘した。当事者団体は同日、森雅子首相補佐官とも面会し、「性自認」との文言の導入について懸念を伝えた。

会見を行ったのはLGBT当事者からなる4団体。法案成立を求める「LGBT法連合会」は当事者の代表ではないことを強調し、日本では法律がなくてもヘイト事件に遭うことなく生活していると訴えた。その上で、性自認は「主観的かつ曖昧な概念」であるとし、「差別」の定義を議論しないまま法制化すれば、女子スポーツや社会の様々なルールが崩壊しかねないと警鐘を鳴らした。

現行法の定める「性同一性」の概念のもとでは、複数の医師による診断など一定の条件のもと、戸籍上の性別を変更することが認められている。しかし「性自認」を法律で認めた場合、身体が男性でも「自分は女性である」と認識すれば、医者による診断なくして自己の性別を決められることとなる。

LGBT法案の推進運動における活動家の影響も浮き彫りとなった。「当事者のみなさんが、行き過ぎたLGBT活動に心配をしている。活動家たちにあまりかき回されたくないという話があった」と長尾敬前衆議院議員は自身の番組で語った。LGBT当事者の多数派はLGBT法案について慎重な姿勢を取っているという。

当事者団体は同日、LGBTへの理解増進を担当する森雅子首相補佐官と国会内で面会した。法案に「性自認」を盛り込むことへの懸念を示し、拙速な法案審議を避けるよう求める共同要請書を岸田文雄首相に送付した。

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