中国武漢市の警察車両。イメージ画像(Photo by Hector RETAMAL / AFP) (Photo by HECTOR RETAMAL/AFP via Getty Images)

「ネット暴力か、警察の圧力か?」学校内で死亡した児童の母親が後追い自殺=中国 武漢

先月23日、湖北省武漢市の小学校1年の男子生徒が、校内で教師が運転する自動車に轢かれて死亡した。事件後、死亡した生徒の母親の楊さんが学校に駆け付け、泣きながら訴える動画がSNSで拡散されて注目を集めていた。

だが、その母親はしばらくして、居住する24階の高層マンションから飛び降り、死亡した。後追い自殺とみられる。米政府系放送局のラジオ・フリー・アジア(RFA)5日付が報じた。

地元の公安当局は「母親の死は、ネット暴力が原因だ」と主張している。しかし「本当の原因は、当局からの圧力ではないか」と疑う世論も根強い。

母親は、生前に撮影された映像のなかで「(武漢)市公安局(国保)の周峻に、私たちがここで騒ぎを起こしている、と責められた」と、地元の公安当局から圧力を受けたことを明かしていた。

「国保」とは中国の公安体制に所属する秘密組織で、正式名は「公安局国内安全保衛隊」。人権派弁護士や民主活動家を常時監視し、これを弾圧するのが彼らの「任務」である。

SNS投稿には、武漢警察の「周峻」の写真とともに「この人(周峻)は何度も『横断幕を掲げて騒ぎ立てるな』と母親を脅している。しかも夜中に、何度も激しく(母親の住む)家のドアを叩き『黙れ』と脅迫した。ネット暴力と当局からの脅し(の二つ)が、母親が飛び降り自殺した直接的な原因だ。子供を失ったのに、泣くことさえ許されない。これが主な原因だ」とする説明がある。

RFAは、武漢市民の徐さんの話を引用して、次のように報じた。

「地元(武漢)で何かの社会的事件や権利擁護に関わる事件が起きると、すぐさま『国保』はネット言論の封殺に乗り出す。今回の楊さんの件は、その典型的なケースだ。中国では(社会の)安定維持にかける費用は、軍事費を上回っている」

当局の「安定維持」の過程でこの母親は死を選んだ。武漢市民の徐さんは、そう信じている、と語った。

亡くなった生徒の母親・楊さんは、学校側に「謝罪」を求めていた。補償をふくめた双方の交渉期間中、地元警察は大量の警察官を学校周辺に出動させ「安定維持」に当てたという。

ネット上には「(この母親は)おしゃれな恰好している。そんなに有名になりたいのか?」など、子供を失って間もない楊さんにとって、あまりに非情なコメントも寄せられていた。

なかでも、100万以上のフォロワーを抱えるインフルエンサー「鄂有正能量」は「母親は、補償金を吊り上げたいから大騒ぎしているのだろう」「同情できないね。子供の死を利用して、金をせしめている」などと発言していた。

なお、このアカウントは、中国政府が世論操作用に使用している可能性がある、とRFAが報じている。

中国の官製メディアをはじめとする複数のメディアは「楊さんに対するネット暴力」について非難し、悪質なコメントを投稿した多数のアカウントが封鎖された、と報じている。

いっぽう、「本当に母親を(自殺に至るほど)絶望させたのは、彼女に対し、騒ぎを起こしていると責めたてて圧力をかけた警察だ」とする声も根強い。

校内で男子生徒を死亡させる交通事故を起こした教師は刑事拘留され、同校の校長と副校長は免職されている。

(【閲覧注意】飛び降り自殺した母親とみられる遺体が映っています)

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