今月14日、湖南省張家界市慈利県で警察の事情聴取を受けていた女性が死亡した。画像は泣き崩れる遺族。(死亡した女性の娘さんによるSNS投稿動画よりスクリーンショット)

警察内で「事情聴取中」に死亡 映像は非公開、体に複数の傷あり=中国 湖南

今月14日、湖南省張家界市慈利県の警察内で、何らかの理由により「事情聴取」を受けていた趙友香さん(女性、56歳)が死亡する事件があった。

死亡した女性の娘・鄧潔さんは、白い綾織りの喪服姿で涙ながらに警察への強い不信感を訴え、人々に助けを求める自撮り動画をSNSに投稿した。

遺体に複数の傷、ビデオ映像は非公開

趙友香さんが警察の事情聴取を受けた理由については、動画からははっきりしない。ただ、あくまでも趙友香さんは「事情聴取」を受けたのであって、事件の被疑者として逮捕されたわけではない。

その趙友香さんが、警察署内で「不審死」を遂げた。警察側は「女性(趙友香さん)がトイレに行く途中で突然倒れた。病院に緊急搬送されたが死亡した」と主張。県の合同調査チームも、女性の死因は「突然死」と発表している。

娘の鄧潔さんは、動画のなかで「母の体には複数の傷があった。さらに、母が死亡したとされる時間(事情聴取中)の監視カメラ映像を見せないなど、警察の対応には不審な点がある」と訴えた。

鄧潔さんは「慈利県公安機関の職務に、拷問などの違法行為があった」と主張する一方、「無力な私には、公安の権力を前にして何もできない。どうか皆さん(ネットユーザー)の力をお借りして、正義が果たされることを望みます」と涙ながらに訴えた。

 

鄧潔さんの動画はSNSなどで拡散され、中国メディアもこの事件を取り上げるようになった。以来、警察への不信感が広がっている。

実際に、女性(趙友香さん)が死亡したという時間、取り調べ室内を記録した約4時間(午前11時15分から午後3時過ぎ)の映像があるはずだが、なぜか警察はその映像を公開しようとしない。この点に関する世論の追及は厳しい。

ネット上には「監視カメラが、また壊れたって。中国の監視カメラは、本当に都合よく故障するなあ」「実に、社会主義の特色ある監視カメラだ」といった皮肉コメントが並ぶ。

さらには「監視カメラ映像を提供できない時点で、警察は限りなく黒(クロ)だ」「中国の警察は信用できない」などの声が広がっている。

「拷問による自白強要」は普遍的

最近、以下の動画も華人圏のSNSで拡散されている。若い女性がカメラを前に叩頭(こうとう)し、涙ながらに助けを求める映像だ。女性が頭をゴツンと床に打ちつける音が聞こえている。

動画の説明文によると、女性は「中国湖南(省)414拷問にかけて自白を強要する案件(中国湖南414刑讯逼供案)」で、拷問を受けた当事者の娘だという。

動画には「彼らは(湖南省の公安)は父の頭を(肥桶に)押さえつけ、無理やり糞水を飲ませました。さらに父の肛門に木の棒を突き刺し、生殖器を電気ショックで痛めつけたうえ、骨まで折ったのです。私は何の役にも立たない娘です。正義のために声を上げてくれる善良な人たちに感謝します」などの字幕が付けられている。

中国の警察における「拷問による自白強要」は中国各地で普遍的にみられるが、違法行為であることは言うまでもない。 

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