バイデン米大統領は22日、国賓として訪米中のインドのモディ首相とホワイトハウスで会談した。半導体や重要鉱物、技術、防衛などの分野での協力深化に向けた一連の合意が発表される見通しで、両国の戦略的パートナーシップを強化し、中国の影響力に対抗する。写真は6月22日、ホワイトハウスで共同記者会見するバイデン米大統領とインドのモディ首相(2023年 ロイター/Evelyn Hockstein)

米印首脳が会談、防衛などの連携強化で合意 人権問題も協議

[ワシントン 22日 ロイター] – バイデン米大統領は22日、国賓として訪米中のインドのモディ首相とホワイトハウスで会談し、防衛や通商面での協力深化で合意した。両国の戦略的パートナーシップを強化し、中国の影響力に対抗する狙いがある。

バイデン大統領は会談後、モディ首相と臨んだ共同記者会見で、米国とインドのパートナーシップが「歴史上のどの時期よりも堅固かつ緊密で、ダイナミック」と強調。経済関係も「急速に発展している」とし、両国の関係が新たな時代を迎えたと称賛した。

モディ首相も、両国の「戦略的パートナーシップ」に「新たな章が加わった」と語った。

モディ首相は会見で事前に選ばれた米国とインド側の記者2人による質問に応じた。モディ氏は首相就任以降、記者会見を行っておらず、異例の対応となった。

注目されていたインドの人権問題への懸念については、イスラム教徒やその他の少数民族の権利の改善に向けどのような措置を取るかという米記者からの質問に対し、モディ首相はインドに「差別の余地は全くない」と応じた。

会談に際し、バイデン大統領は大統領執務室で「民主主義、人権、自由、法の支配に基づき、われわれがどのようにパートナーシップを強化し、両国民にふさわしい未来を共に築くことができるか話し合うことを楽しみにしている」とし、人権問題について協議する考えを鮮明にしていた。

モディ首相もバイデン大統領の言葉にうなずき、準備原稿を読み上げる形で世界最大の民主主義国家である両国に注目が集まっていると述べていた。

両国は正式な同盟国ではないものの、米政府はインドを中国をけん制する上で重要な戦略パートナーと位置付ける。ただ、ウクライナ侵攻にもかかわらず、インドがロシアと緊密な関係を維持していることには不満も示している。

バイデン大統領は会談に先立ちホワイトハウスで行われた歓迎式典で演説し、「世界が今世紀に直面する課題と機会は、インドと米国が連携かつ共に主導することを必要としている」と述べた。

モディ首相は「ホワイトハウスでの盛大な歓迎式典は14億人のインド国民にとって名誉かつ誇り」と謝意を表明した。

式典には約7000人が出席した。

会談前、米ゼネラル・エレクトリック(GE)の航空宇宙部門は、インド空軍の次期戦闘機に搭載するエンジンを製造することで、インドの国営航空機メーカー、ヒンドゥスタン・エアロノーティクスと契約に調印したと発表した。

半導体製造装置メーカーの米アプライド・マテリアルズがインドの新しいエンジニアリング・センターに4年間で4億ドルを投資すると発表したほか、米マイクロン・テクノロジーも8億2500万ドルを投じてインドに新工場を建設すると明らかにした。

こうした中、インドで民主主義が後退しているとの懸念から、オカシオコルテス下院議員ら民主党進歩派は、モディ氏首相が22日に予定する議会演説をボイコットすると表明した。

一方、マッカーシー下院議長(共和党)は、民主党のジェフリーズ下院院内総務とともに超党派の議会代表団を率いて10月にインドを訪問すると明らかにした。

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