米ホワイトハウスの新たな対テロ戦略 4つの要点

2026/05/07
更新: 2026/05/07

トランプ米政権は5月6日、新たな対テロ戦略の概要を発表した。これは近年の政策転換と今後の新たな公約を明確にするものである。16ページにわたる戦略指針は、武装勢力、過激派、犯罪組織に対処するための「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」のアプローチを説いている。

文書には、「9.11テロ事件から25周年を迎え、アメリカは常識と現実に即した対テロ戦略へと回帰した」と記されている。

「トランプ大統領は、対テロ戦略を全面的に見直した。この新戦略は、国家の主権と自国文明への自信を根幹に据えている。その目的は、アメリカ人を殺害し、自由国家としての利益を損なう勢力を完全に壊滅させることにある」

以下に、今回の新たな戦略展開における4つの要点を挙げる。

1. 「アメリカ・ファースト」の射程に入る暴力的な左翼団体

新たな戦略文書は、米国の対テロ活動の対象範囲を拡大することを明示している。

「我々は、従来の対テロ手法を不十分、あるいは時代遅れにするような、新たなカテゴリーと組み合わせの暴力的主体(アクター)に直面している」と文書は指摘する。

米国の対テロ活動は、長らくイスラム過激派への対策を主としてきた。しかし新戦略では、これに「暴力的な左翼過激派」と「麻薬テロリストおよび国際ギャング」を加え、これら3つを主要なテロ脅威カテゴリーと定義した。

2017年4月23日、フランスのナントで、大統領選挙第1回投票の結果発表後、アンティファのメンバーがデモを行うために集まった(Jean-Sebastien Evrard/AFP via Getty Images)

トランプ政権は、建国文書に記されたアメリカ的な生き方に反対する暴力的な左翼団体や思想運動に対し、対テロ権限を適用するための措置をすでに講じている。

米国務省は11月、4つの国際的な暴力左翼団体を「外国テロ組織(FTO)」に指定した。トランプ氏はかつて、国内のアンティファ(Antifa)もテロ組織と宣言する大統領令を出している。しかし、現在の米国法には「外国テロ組織」に相当する「国内版の指定制度」が存在しないため、国内組織への適用には法的な壁がある。

「我々の国家的な(対テロ)活動は、反米、急進的なトランスジェンダー擁護、およびアナーキストの思想を持つ暴力的な世俗政治団体の迅速な特定と無力化も優先する」と文書は述べている。

さらに、「憲法上利用可能なあらゆる手段を駆使して、国内における彼らの動向を把握し、メンバーを特定し、アンティファのような国際組織とのつながりを解明する。そして、彼らが無実の人々を傷つけ、殺害する前に、法執行機関のツールを用いて組織的に無力化する」としている。

また、文書の中では、極左運動とイスラム主義運動の結びつきが深まっているいわゆる「レッド・グリーン(赤と緑)同盟」についても言及されている。

2. 西半球への焦点の移動

カルテルや国際ギャングを主要なテロ脅威カテゴリーに含める動きは、米国の対テロ作戦の焦点を西半球(南北アメリカ大陸)に移そうとする広範な取り組みと合致している。

「我々の戦略はまず、カルテルが麻薬や構成員、人身売買の被害者を米国に持ち込めなくなるまでその活動を無力化し、半球内のテロ脅威を排除することを優先する」としている。

トランプ政権の第2期開始以来、国務省は中南米およびカリブ海の15のカルテルと犯罪ギャングを外国テロ組織リストに追加した。

9月以降、米軍はカリブ海、その後は東太平洋で活動する、当局が確認した麻薬密輸船に対して致命的な攻撃(リーサル・ストライク)を開始した。これらの攻撃はその後数ヶ月間にわたって継続されている。

米南方軍は5月5日、麻薬密輸船に対する直近の攻撃を報告し、3人が死亡したと発表した。

1月5日、ベネズエラ前大統領マドゥロ氏は、米国連邦捜査官の護衛を受けながら装甲車に乗り込み、ニューヨーク市の連邦裁判所へ向かった。(XNY/Star Max/GC Images)

また、米軍は1月3日、ベネズエラの指導者ニコラス・マドゥロ氏を拘束し、麻薬密輸および麻薬テロ関連の容疑で刑事訴追するため、ベネブエラでの特殊作戦を遂行した。

新戦略文書は、主要なイスラム過激派組織への対抗を第2の優先事項として明記している。文書によれば、上位5つのイスラム教徒集団は、アルカイダ、アラビア半島のアルカイダ(AQAP)、ISIS、中央・南アジアで活動するISISホラサン州、そしてムスリム同胞団である。

3. リソースとパートナーシップの拡大

全体として、新たな戦略文書は、トランプ政権下での対テロ活動の活性化について記述している。これには、国内リソースの追加配分や国際的なパートナーシップの強化が含まれる。

カルテルなどの国際ギャングを外国テロ組織に指定する動きは、「追加のインテリジェンス権限を利用可能にし、彼らの資金源と米国へのアクセスを遮断・妨害する」ための一歩であると説明されている。

トランプ氏は、こうした集団に正式なテロ指定を適用し、その活動に対処するための対テロ権限を解放した最初のアメリカ大統領である。

3月、ピート・ヘグセス戦争省長官は、中南米およびカリブ海諸国の16のカウンターパートと、西半球における多国間安全保障協力協定に署名した。この協定には、地域の「麻薬テロやその他の共通の脅威と戦うための連合」への参加公約が含まれている。

2025年4月15日、メキシコ・ソノラ州の砂漠地帯で、ソノラ州警察の警官が作戦行動を実施した(John Fredricks/The Epoch Times)

「トランプ大統領は『負担分担』の新しい夜明けをもたらした。今こそパートナーとより積極的に協力し、米国に居座るテロの脅威を粉砕すべき時である」と新戦略は述べている。

また、外交、金融、サイバー、秘密工作を用いた対テロ支援についても記述されている。

政権側は、対テロ活動には「テロ組織を意気消沈させ、彼らの反米・反西洋プロパガンダを弱体化させるための積極的な情報作戦」も含まれるとしている。

「情報発信の分野において、我々は本来持っているはずの力を近年放置し、衰退させてきた。あるいは、それらが特定の政治目的のために利用されることもあった。かつては骨抜きにされていたこれらの広報・情報能力を、今後は再び立て直す。そして、テロ組織やその支持者の戦意を削ぎ、彼らの主張がいかに不当であるかを暴くための強力な武器として活用していく」

4. 非政治的で証拠に基づいたアプローチの公約

新戦略は暴力的な左翼過激派を米国に対する3大テロ要因の一つに格上げする一方で、対テロ権限が政治的目的に悪用されることを防ぐという公約も明文化している。

「我々の対テロ作戦は、非政治的に執行され、現実に基づいた脅威評価に立脚するものとなる」と記されている。

「我々の対テロ権限は、単に意見が異なるだけのアメリカ同胞を標的にするために使われることはない。米国の比類なき対テロ能力が、党派的な目的のために、あるいはすべてのアメリカ人に神から与えられた権利に反して武器化されることを許さない」

戦略文書は、トランプ氏の前任者であるジョー・バイデン大統領の下での米国の対テロ活動が、保守派やキリスト教徒、学校運営委員会の政策変更に抗議する保護者らに向けられていたと記述している。

「何百万人ものアメリカ人が、連邦政府の最も強力な要素である国家安全保障機構の誠実さに対して信頼を失っている」

「その信頼は、対テロ活動が政治に汚染されることなく実行され、対テロ権限を無実の人々に対する武器として利用した者が、無実のアメリカ人の市民権を侵害した罪に対して司法上の全責任を負う時にのみ、取り戻すことができる」

軍事と外交問題を専門とするエポックタイムズの記者