マンゴーには、抗がん作用、抗酸化作用、抗炎症作用、抗菌作用、抗ウイルス作用など、人間の健康を促進し、慢性疾患を抑制する栄養素が含まれているため、薬効が期待できます。(Sixcube / PIXTA)

マンゴーは薬にもなる! 抗がん作用と心臓の健康に役立つ 食べ方の3つのポイント

マンゴー(Mangifera indica)の歴史は古く、5000年以上前にインドのヒマラヤ山脈のふもとに植えられました。マンゴーの葉、樹皮、果肉、果皮、根、花などすべての部分に薬効があり、数え切れないほどの治療効果があるとして現地の医学で珍重されています。世界には300種類以上のマンゴーが存在します。

マンゴーの栄養と効能

植物栄養素とは、植物が自らの身を守るために作り出す物質で、カロテノイド、フラボノイド、クマリン、インドールなどが含まれ、その多くが生理活性化合物であることが知られています。

これらの化合物は、心臓病、心不全、脳卒中、糖尿病の発症に関連する危険因子群であるメタボリックシンドロームの蔓延に対抗する上で、重要な役割を果たしています。ジョンズ・ホプキンス大学の心臓専門医である、チャディ・ヌムレ(Chiadi E. Ndumele)博士によると、アメリカ人の約3分の1がメタボリックシンドロームだといいます。

マンゴーに含まれるこれらの栄養素は、抗がん作用、抗酸化作用、抗炎症作用、抗菌作用、抗ウイルス作用など、人間の健康を促進し、慢性疾患を管理する可能性があります。

米国農務省のサイト「FoodData Central」によると、中サイズのマンゴー1個には以下の栄養素が含まれています:

・カロリー:202

・炭水化物:50グラム

・糖質:45グラム

・繊維:5グラム

・タンパク質:3グラム

・ビタミンA:1089マイクログラム

・カリウム:564mg

・ビタミンC:122mg

・トリプトファン:44mg

・マグネシウム:34mg

マンゴーには、抗がん作用、抗酸化作用、抗炎症作用、抗菌作用、抗ウイルス作用など、人間の健康を促進し、慢性病を抑制する栄養素が含まれています。(Sixcube / PIXTA)

心臓に良いマンゴーの7つの効能

1. 心臓を健康にする

米国心臓協会(AHA)によると、このジューシーな果物に含まれる繊維質、ビタミン、カリウム、マグネシウムは、高血圧を含む心臓病のリスク軽減に役立ちます。また、マンゴーにはビタミンCやビタミンKも豊富に含まれており、ビタミンCは血管の維持と鉄分の吸収を助け、ビタミンKは、血液凝固の調節に重要なプラスミノーゲンの生成に不可欠です。

2. 抗がん作用

マンゴーにはβ-カロテンという色素が豊富に含まれています。β-カロテンは抗酸化物質で、がんにつながる可能性のある細胞を傷つけるフリーラジカルと戦います。

『脂質雑誌』(Journal of Lipids)に掲載された2017年の研究によると、マンゴーは肺がん、結腸がん、乳がんなど、多くのヒトのがんを予防します。

植物化学物質を含むマンゴー抽出物が、乳がん細胞の成長、増殖などを阻害することが研究で示されています。治療薬としての可能性を探るためには、さらなる研究と臨床研究が必要です。

3. 脳疾患の予防

『ヨーロッパ薬理学雑誌』(European Journal of Pharmacology)に掲載されたラットを使った研究で、科学者たちは、マンゴーが統合失調症、認知症、健忘症、アルツハイマー病などの記憶障害の予防や治療に使われる可能性があることを示唆しました。

ハーバード大学公衆衛生大学院によると、マンゴーに含まれるビタミンB6は、認知症、アルツハイマー病、認知機能低下の多発に関係しているホモシステインの高濃度を下げることにより、脳機能を助ける可能性があるといいます。

4. ダイエット効果

マンゴーは低脂肪であることに加え、豊富な食物繊維が満腹感を促進するため、ダイエットにも適しています。ある研究では、マンゴーが高脂肪食による体重増加からラットを守り、グルコースとインスリンの反応を改善することで、肥満のリスクを減少させると報告しています。

5. より健康的な腸内フローラ

マンゴーに含まれる食物繊維と水分は消化器官を安定させるため、便秘を防ぎ、結腸がんや直腸がんのリスクを軽減します。2023年に『食品科学と栄養学』(Food Science and Nutrition)誌に掲載された最近の研究によると、サンディエゴ州立大学の研究者らは、新鮮なマンゴーを摂取することで、特定の重要な腸内細菌の個体数が増加し、腸内環境が改善されることを発見しました。

6.睡眠の質を高める

マンゴーを夜に食べると、睡眠の質が向上します。マンゴーにはビタミンB6が豊富に含まれており、セロトニンを刺激して睡眠ホルモンであるメラトニンを生成します。マンゴーに多く含まれるマグネシウムは、不眠症に効果があると言われています。

7.健康的な肌づくり

ビタミンAとビタミンEに加え、ビタミンCは紫外線や汚染物質から肌を守ることで、肌の自然な老化を遅らせます。ビタミンCはまた、肌の弾力を保つコラーゲンの生成も促進します。マンゴーに含まれる強力な抗酸化物質は、肌にダメージを与えることで知られるフリーラジカルを不活性化します。

マンゴー摂取のための3つのポイント

1.皮の扱いに気をつける

マンゴーの皮にはウルシオールと呼ばれる化合物が含まれており、人によっては皮膚がかぶれることがあります。この化合物は、葉、茎、根、皮、特に茎の周りに含まれています。マンゴーの皮をむく前に、洗ってやさしくこすることをお勧めします。

マンゴーの皮は食べられますが、苦味が強く、咀嚼や消化が困難です。

2.新鮮なマンゴーを食べる

栄養の質、味、風味を最も良くするには、新鮮なマンゴーを生で食べることです。ドライマンゴーを食べる場合は、果実の糖分が乾燥過程で濃縮されることを覚えておきましょう。

3.マンゴーの保存

マンゴーは常温で保存し、熟したものを食べましょう。熟しすぎた果実は、収穫後すぐに栄養価や耐病性の大部分が失われてしまいます。

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