台湾有事、高まる認知作戦の脅威 明暗分ける「民間防衛」
中国共産党による台湾侵攻を想定した台湾の軍事演習が本格度を増すなか、民間レベルでは「オールドメイン戦」への対応が急がれている。専門家は、世論戦や心理戦による被害を抑えるためには、一般人が中共の本質とその手口を認識し、抵抗する決心を抱かなければならないと指摘する。
「中国共産党は長らく中立的な台湾人を取り込もうとしてきた」。台湾のNGO団体主催の講演会で、台北大学犯罪学研究所の沈伯洋副教授はこう語った。台湾有事が発生した際、中共に勝つためには軍事力だけではなく、抵抗する「強靭性」を示さなければならないと指摘した。
その背景にあるのが、著しく複雑化する現代戦争の様相だ。伝統的な陸海空軍による作戦に加え、認知戦や心理戦、統一戦線工作、貿易戦、サイバー戦などを融合させた「オールドメイン戦」が繰り広げられる。戦場は前線から銃後に果てしなく拡大し、個々人の内心にまで及んでいる。
関連記事
米上院は「台湾保証実施法案」を可決し、国務省へ米台間の交流制限撤廃の検討を要請。米台関係の深化を鮮明にした
イギリス防相は2025年7月、台湾有事の際にイギリスが同盟国とともに戦う準備があると表明。イギリス空母も合同演習へ参加し連携を強化する姿勢を示した。
アメリカは台湾防衛を最優先とし、中国の武力行使を強く警告。軍事・経済両面で抑止力を強化し、台湾海峡の緊張が続いている。
中共軍で台湾問題を管轄する「東部戦区」は1日、台湾周辺で陸海空軍とロケット軍による合同軍事演習を同日から開始すると発表したことについて、台湾国防部は、中国共産党政権について「国際社会最大のトラブルメーカーだ」と非難した。
27日、台湾有事などの緊急事態を想定し、沖縄県の先島諸島から住民約12万人を避難させる計画を初めて公表した。