8月29日、国連人権高等弁務官事務所は、東南アジア地域で近年見られる詐欺拠点や違法なオンライン事業に数十万人規模の人々が犯罪組織の手で移送され、強制労働を強いられているとする報告書を発表した。写真はターク国連人権高等弁務官。ジュネーブで2月撮影(2023年 ロイター/Denis Balibouse)

東南アジア詐欺拠点で数十万人が強制労働か、犯罪組織下で=国連

[バンコク 29日 ロイター] – 国連人権高等弁務官事務所は29日、東南アジア地域で近年見られる詐欺拠点や違法なオンライン事業に数十万人規模の人々が犯罪組織の手で移送され、強制労働を強いられているとする報告書を発表した。

複数の信頼できる情報筋に基づく推計として、ミャンマーで少なくとも12万人、カンボジアで約10万人が詐欺拠点に収容されている可能性があると指摘。ほかにも、ラオスやフィリピン、タイなどに、暗号資産詐欺やオンライン賭博などの犯罪組織が所有する企業があるとしている。

ターク国連人権高等弁務官は「こうした詐欺行為に強制的に加担させられている人々は、非人道的な扱いを受けながら犯罪行為を強いられている。被害者であって犯罪者ではない」と述べた。

カンボジア警察の広報は報告を見ていないとした上で、「(10万人という)数字をどこから得たのか。外国人がとやかく言っているだけだ」などと述べ、ミャンマー軍政はコメント要請に応じていない。

こうした状況は新型コロナウイルス禍以降に見られ、カジノ閉鎖で規制の緩い東南アジア各地に拡大している。

報告書は、詐欺拠点は急速に拡大し、毎年数十億米ドル規模の収入を生み出していると分析している。

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