インド ニパウイルス感染2人確認 アジア各国が空港検査強化-致死率75%の脅威

2026/01/29
更新: 2026/01/29

インドでニパウイルス感染2人を確認した。致死率は40~75%に達し、コウモリを媒介とするこのウイルスの感染者は西ベンガル州の医療従事者で、接触者196人を現在追跡調査中だが、無症状である。タイ、香港、マレーシアでは空港での体温検査を強化した。ニパウイルス脅威に対して、WHOは警戒を強めている。

このウイルスは果物を食べるコウモリや豚などの動物を媒介し、発熱や脳炎を引き起こす。致死率は40~75%に達する。人から人への感染も起こり得るが容易ではなく、通常は感染者と長時間接触した場合に限られる。より一般的な感染経路は、感染したコウモリやその排泄物で汚染された果物を介して人に感染する。

この2件の感染は昨年12月末にインドで確認した。ウイルス学者によれば、一般市民にとっての感染リスクは依然として低い。現在、複数のワクチンを研究・開発中であるが、いずれもまだ臨床試験段階にある。

英国エセックス大学の分子ウイルス学講師エフスタティオス・ジョティス氏はロイター通信に対し、「監視は必要だが、現時点で広範な公衆衛生上の脅威が存在する証拠はない」と述べた。

インド 西ベンガル州でニパウイルス感染2人 医療従事者

ロイター通信によると、インド東部の西ベンガル州の地区保健当局者が、昨年12月末にこの州で感染した2人はいずれも医療従事者であり、現在は地元の病院で治療を受けていると伝えた。

インド保健省は1月27日夜に声明を発表し、当局はこの2件の感染例に関連する196人の濃厚接触者を特定し追跡したが、全員が無症状であり、ウイルス検査の結果は陰性だったと説明した。声明の中で保健省は、「ニパウイルス感染症に関する根拠のない情報が流布している。我々は監視、検査、現地調査を強化し、感染拡大を速やかに抑制するよう努めている」と述べた。

これらの感染報告を受け、周辺の東南アジア諸国やネパールでも警戒感が高まっている。

空港で体温検査を実施

シンガポール感染症管理局は1月28日、インドの感染地域から到着する便の乗客を対象に空港で体温検査を実施すると発表した。同局は声明で、「南アジア諸国の当局とも連携し、感染状況をより正確に把握しようとしている。また、各国が確定症例のゲノム解析結果を報告できる国際的なプラットフォームの構築にも取り組んでいる」と述べた。

香港空港管理局の報道官も、香港国際空港の衛生当局と連携して厳格な健康検査措置を実施しており、インドからの旅客に対して搭乗口で体温測定を行っていると報じた。

タイとマレーシアが対策を強化

今週初め、タイは空港での検査措置を強化し、隣国マレーシアも同様の対策を取っている。タイ保健省は、ニパウイルス感染地域から到着する航空機に指定の駐機スポットを設け、入国者全員に健康申告書の提出を義務付けたと発表した。

マレーシア保健省も警戒を強化しており、特に感染リスクが高いとみなされる国からの入国者を対象に、主要な国際入国拠点で健康検査を実施している。インドと国境を接するネパールでは人の往来が盛んなため、当局は「高度警戒態勢」に入り、旅行者の検査を強化している。

ニパウイルスの歴史 インドケーララ州で複数発生 WHO優先病原体

ニパウイルスは25年以上前、マレーシアとシンガポールの養豚農家で初めて確認されたが、科学者たちはこのウイルスが果物とコウモリの間で何千年も前から存在していたとみている。世界保健機関(WHO)はニパウイルスを「優先的に対策すべき病原体」に指定している。これは承認済みのワクチンや治療法が現時点で存在せず、致死率が高く、さらにウイルスの変異によって感染力が強まる可能性が懸念されているためである。

インドでは、特に南部のケーララ州で散発的な感染例が報告されており、この地方は世界でもニパウイルス感染リスクが最も高い地域の一つとされる。2018年に同州でウイルスが初めて確認されて以降、これまでに数十人が死亡している。隣国バングラデシュでも定期的に感染例が報告されている。

感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)の統計によると、2025年12月までに世界で確認されたニパウイルス感染例は750件で、そのうち415人が死亡している。CEPIはニパウイルスのまん延を食い止めるため、ワクチン試験に資金を提供している。

地元メディアによれば、西ベンガル州での今回の感染は約20年ぶりであり、前回は2007年に発生し、当時5人が死亡した。ロイター通信は、科学者たちの見解として、このウイルスが世界的に広がる可能性は低いと報じた。また、潜伏期間が比較的長いため、空港での検査だけでは効果的に感染を防ぐことは難しいと指摘している。

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