9月、ASEAN日本首脳会談で発言する岸田文雄首相(Photo by BAY ISMOYO/POOL/AFP via Getty Images)

岸田首相、中国の李強首相と立ち話 処理水放出で立場表明

岸田文雄首相は6日、訪問先のインドネシアの首都ジャカルタで中国の李強首相と立ち話をし、原発処理水の海洋放出について日本の立場を改めて表明した。

外務省によると、岸田氏はジャカルタで開かれるASEANプラス日中韓首脳会議の開始前に、李強氏と短時間の立ち話をした。処理水放出のほか、「建設的かつ安定的な日中関係」を構築する重要性を伝えた。

NHKによると、岸田氏は同首脳会議の場でも、中国が日本産の水産物の輸入を全面停止したことについて「突出した行動」であるとし、科学的根拠に基づく行動を求めていく考えを示した。

岸田氏と李強氏は今回、初めての顔合わせとなる。処理水放出をめぐって中国共産党が外交戦を仕掛けるなか、岸田氏は会議に出席した各国首脳に対し、処理水放出への理解を促している。

シンガポール南洋理工大学の古賀慶教授はボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材に対し、ASEAN諸国は日中のはざまで、中立的な立場を維持するだろうとみている。各国の処理水放出への反応は「冷静」であるとし、特段の禁止措置を取っていないという。

マレーシア太平洋研究センターの胡逸山教授は、ASEANの公式な態度は概ね一致しているとした。民間の散発的なデモが発生しているが、日本との外交関係に影響はないとの見解を示した。

岸田首相は、6日と7日にジャカルタで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議に出席したのち、10日にインドのニューデリーで開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議に出席する予定。

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