李尚福国防相は今月1日に当局によって逮捕され、続いて多数の将校が身柄を拘束された。うち将官クラスが6人、佐官クラスが2人となっており、いずれも李氏自身が任命した将校たちだ。このような突然の粛清行動に対し、軍内部には戸惑いが広がっているという。(Photo by Feng Li/Getty Images)

李尚福国防相に続き高官8人が逮捕 中国共産党内で何が起きているのか

中国の李尚福国防相の公式動静が途絶えた後、複数の情報筋に基づき、李尚福氏の逮捕および軍の装備分野を担う高官8人の拘束が明らかになった。中国人民解放軍内部は不安定な状態が続いており、習近平国家主席との間に亀裂が生じている。

海外メディアの情報によると、李尚福国防相は今月1日に当局によって逮捕され、続いて多数の将校が身柄を拘束された。うち将官クラスが6人、佐官クラスが2人となっており、いずれも李氏自身が任命した将校たちだ。このような突然の粛清行動に対し、軍内部には戸惑いが広がっているという。

関係者は李氏に裏切りの意図があったとし、紅二代(中国共産党高級幹部の子弟)の多くは完全に反習近平の立場をとっていると、出来事の背景を説明している。

エポック・タイムズは中国国防部にメールでコメントを求めたが、回答はない。

ロイターも15日、公式の消息が2週間ほど途絶えた李尚福氏が、すでに中国当局による調査を受けていたことを報じた。内部関係者によれば、同氏に対する調査は軍の装備調達に関するものだったという。

また、李氏が2017年から2022年の間に指揮をとっていた装備調達部門の高官8人も調査を受けており、今年3月に行われた調査が現在、中国共産党中央紀律検査委員会(中央紀委)に引き継がれているものとみられる。

ネットでは、身柄を拘束された8人の高官をリストアップしたものが出回っており、エポック・タイムズは現在これらの情報の信ぴょう性を確かめている。

米国に住む中国時事評論家の蔡慎坤氏は「装備調達についての調査」という見方について、「装備調達を通じて腐敗は当然起きる。また、上司へ都合の良い報告をすることで、より多くのお金を懐に入れることができる。予算のうち3割が正当に使用されていれば良い方だ。それ以外はすべて賄賂や汚職に消えていく」とエポック・タイムズに答えた。

一方で、単純な反腐敗キャンペーンではないとも指摘する。蔡氏は、「反腐敗は自分と意見を異にする勢力を排除するための手段に過ぎない。実際は、自分に従わず、絶対的な忠誠がない人々に向けられたものだ」と語った。

揺れ動く国内政治

李尚福氏は8月29日に北京で開かれた「中国アフリカ平和安全フォーラム」を最後に公式動静が途絶えていた。今月15日、ラーム・エマニュエル駐日米国大使はX(旧ツイッター)公式アカウントで同氏に関する投稿を行った。

「シェイクスピアが『ハムレット』の中で『デンマークでは何かが腐ってる(上層部の腐敗を暗示するセリフ)』と記したようだ。李氏はすでにここ3週間音沙汰がない。次のベトナムへの訪問もなかった。そして今度は、シンガポール海軍総司令官との会談を欠席した。自宅軟禁されているからだろうか」

また8日の投稿では、「外交部長の秦剛氏がいなくなり、次にミサイル軍の司令官が失踪し、今度は李尚福国防相が2週間も公に姿を現していない。この度の失業レース、勝つのは中国の若者か、それとも習近平内閣か」と述べ、皮肉混じりにアガサ・クリスティの小説タイトル『そして誰もいなくなった』を添えた。

外交部の毛寧報道官は、李氏が取り調べを受けているかとのロイターの質問に対し「関連する情報を承知していない」と答えた。

今年7月、中国共産党中央軍事委員会は関係者に対し、2017年10月以降の軍備品調達の入札における腐敗行為の手がかりを報告するよう求めた。李尚福氏は今年3月に国防相に就任するまで同委員会の装備発展部長を約5年間務めていた。2017年10月以降とは、李氏が同年9月に装備発展部長を引き継いだ期間とちょうど一致する。

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