普天間飛行場に並ぶ米軍のオスプレイ(Wenliang Wang/大紀元)

沖縄辺野古移設、国が代執行可能に 県知事の行為は「社会公共の利益を害する」=判決

米軍普天間飛行場の辺野古移設計画をめぐる訴訟で、福岡高裁那覇支部は20日、設計変更の申請からおよそ3年半経過しているにもかかわらず沖縄県が承認せずに放置することは「社会公共の利益を侵害する」と判断。国の主張を認め、県に対し、今月25日までに工事を承認するよう命じた。

福岡高等裁判所那覇支部の三浦隆志裁判長は20日、最高裁判決を受けてなお何ら対応しない玉城デニー知事の振る舞いは「憲法が基本原理とする法の支配の理念や法治主義の理念を著しく損なうもの」とした。沖縄県側が期限内に工事を承認しなければ、代わりに国が承認する「代執行」が可能となる。

1週間以内に最高裁に上告することもできるが、県側が勝訴するまでは代執行を止めることはできない。国が自治体の事務を代執行したケースは過去にない。

辺野古への移設工事は2017年4月に始まったが、沖縄県政は度々工事の差し止めなどを求めて訴訟を提起してきた。今年9月、最高裁は、県知事の不承認は公有水面埋立法に違反することが確定したにもかかわらず、何ら対応せず変更申請を承認しないことは法令違反であると判じた。

判決では、知事が最高裁判決を放置することは地方自治法の定める諸制度を踏みにじるもので、憲法が基本原理とする法の支配の理念や法治主義の理念を著しく損なうと指摘。知事の行為は、社会公共の利益を甚だしく害するものと言わざるをえない、とした。

国と県との関係については、設計変更の必要が生じるたびに繰り返し訴訟を行うことは「必ずしも相当なものとは言い難い」と苦言を呈した。

また、沖縄で地上戦が行われ、多くの県民が犠牲になった歴史的経緯にも言及し、「埋め立て事業に対する県民の心情は十分に理解できる」「県民の心情に寄り添った政策実現が求められている」と諭した。解決するには「国と県が相互理解に向けて対話を重ねる」ことが肝要だと指摘した。

判決言い渡しの当日、玉城知事は急性肺炎のため記者対応を行わなかった。急遽対応に当たった池田竹州副知事は報道陣に対し、高裁の判決は沖縄県民の民意に即しておらず、到底容認することはできないという玉城知事のコメントを発表した。上告するかどうかについて明言はしなかった。

NHKの報道によると、移転先となっている名護市の渡具知武豊市長は「近隣住民や市民の不安の払拭や生活環境を守ることは市長の責務であると考えている」と述べた。普天間基地がある宜野湾市の松川正則市長は「埋め立てのめどがつくということは、市民にとっては今回は大きな判決だったのではないか」と語った。

いっぽう、防衛力増強に前向きな石垣市の中山義隆市長はX(旧Twitter)に投稿し、「県が国を訴え、最高裁まで争い、結果が出たのに従わなかった後の代執行訴訟で県に『承認命令』が出されました。これにも応じずに代執行となると、県と国との関係は修復不能になるでしょう」と対応を批判した。

その上で、「県知事は『苦渋の決断』と承認するのが得策かと、日本は法治国家ですから」と釘を刺した。

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