いろいろなデータが示す砂糖の弊害

砂糖をやめると起こる10の驚くべき出来事(上)

「人間の体には添加糖は不要です」と、2型糖尿病の治療を専門とする腎臓専門医ジェイソン・ファン博士はエポックタイムズのインタビューで述べました。

それにも関わらず、もし標準的なアメリカ式の食生活を送っている場合、かなりの添加糖を摂取することになります。研究によれば、食事から糖分を減らすと、少数の例外を除き、思わぬ変化が体験できるでしょう。

1.エネルギーの増加と持続

「私はよく糖を『巧妙な欺き者(あざむきもの)』と呼びます」と、カイロプラクターであり、『断続的断食ダイエットガイドとクックブック』という書籍の著者であるベッキー・ギラスピー博士は、エポックタイムズのインタビューで話しました。

彼女は、摂取された添加糖はすぐに単糖に分解され、急速にエネルギーを供給しますが、「しかしその後、向きを変えて私たちからエネルギーを奪います」と説明しました。

添加糖を摂取しないようになると、最初の数日は不快感を感じることがあります。ギラスピー博士によれば、これは体が糖から得られる即時のエネルギーに依存することに慣れてしまっており、結果としてその糖を強く求めるためです。

しかし、炭水化物やその他の栄養素を自然食品や全粒穀物から摂取するようにシフトすると、身体は次第に安定した持続的なエネルギーを受け取るようになります。

糖質をやめてしばらくすると、多くの人がよりエネルギッシュになることに気づきます。

身体はすぐに適応し、最も利用しやすい燃料を使って活動するようになります。「私たちの代謝は、糖質を燃やしやすい体から、脂肪を燃やしやすい体に切り替わります。これにより、エネルギーが持続しやすくなり、代謝の柔軟性が高まり、食べ物への渇望も減少します。

「体はリセットされ、糖分を必要としない状態になるのです」とファン博士は語りました。

2.インスリン感受性の改善

砂糖をやめることで血糖値が安定するのは、自然に得られる利点ですが、さらに砂糖をやめることでインスリン抵抗性が改善されるというメリットもあります。

砂糖を多く摂ると血糖値が上がり、膵臓が糖分を脂肪細胞などに送り届けるために、より多くのインスリンを放出します。これが頻繁に起こると、細胞はインスリンのシグナルに反応しなくなり、結果として糖質が血液中に残り、健康に様々なリスクをもたらします。

2019年に『臨床および実験医学の進歩(Advances in Clinical and Experimental Medicine)』誌に掲載されたレビュー論文によると、インスリン抵抗性の有病率は、集団によって10~30%の間で変動します。

南カリフォルニア大学が以前に実施した研究では、添加糖摂取量を40グラム減らし、添加糖からのカロリー摂取量を5%減らすと、インスリン分泌の20%が減少しました。また、米国の国民健康栄養調査(NHANES)のデータベースに基づく別の研究では、8オンスまたは240ミリリットルの砂糖入り飲料を飲むと、インスリン抵抗性が6%増加することが判明しました。

空腹時のインスリンは、インスリン抵抗性を判定する指標のひとつです。2500人の成人を対象にした研究によると、加糖飲料を摂取しなかった人々は、摂取した人々に比べて空腹時インスリンの値が低いことがわかりました。

3.炎症と痛みの軽減

「砂糖をやめたことで最も良かったのは、痛みがなくなったことです」と、写真家のパットさんはギラスピー博士に感謝しました。同氏は以前、関節痛と筋肉痛に悩まされ、立ち仕事が必要な写真家としての職を辞めようと考えたほどでした。52歳になったパットさんは、35歳の頃の自分を今では追い越して走ることができます。

過剰な砂糖摂取は、体内で炎症を促進する物質を放出させる原因となります。イングランドで行われた約1万人の成人を対象とした研究で、飲料や紅茶、コーヒー、シリアルに含まれる添加糖を多く摂取している人は、血中の炎症指標が高いことが明らかになりました。

免疫学の研究では、過剰な砂糖摂取が人間の炎症性疾患の発症にどのような影響を与えるかを理解することが急務とされています。食事に含まれる糖分が多いと、関節リウマチ、多発性硬化症、乾癬、炎症性腸疾患、そして低度の慢性炎症を引き起こす可能性があります。

4.体重管理がより簡単

砂糖をやめた後は、体重を減らすことが容易になります。

フィラデルフィアで私立診療所を開業している臨床心理士のジェシカ・ルッソ氏は、エポックタイムズのインタビューで、過食症や過剰な体重に悩む患者が、添加糖やその他の精製炭水化物をカットし、1か月以内で10ポンド(約4.5キロ)痩せたと語りました。

別の患者は、54ポンド(約24.5キロ)減量しました。患者本人がギラスピー博士に、本気で砂糖をやめた後、体重が大幅に減少したと話したそうです。

砂糖はインスリンの分泌を刺激し、高まったインスリンレベルは脂肪の蓄積を促進します。低糖質の食事はインスリンレベルを下げ、その結果、細胞が脂肪を放出するのを促します。

『British Medical Journal』誌に掲載された60以上の研究を評価したメタアナリシス(大規模分析)では、食事からの糖分摂取を減らすと、平均0.8キロの体重減少につながります。12万人以上が参加した別の前向き研究では、砂糖入り飲料を摂取すると、年間最大1ポンド(約1.5キロ)体重が4年間増加し続けましたが、1日に飲む加糖飲料を1本減らすと、年間の体重増加は約25%減少しました。

5. 精神的健康の増進

ルッソ氏は、砂糖は人間の脳にとって重要なビタミンBを消耗すると説明しました。ビタミンBが不足すると、認知機能が低下し、思考能力が低下します。

同氏は、うつ病や不安が炎症と関連していると指摘しています。砂糖を取り除き炎症を抑えることで、人々はリラックスし、前向きな気持ちになれるのです。私たちは注意深く観察することで、このような変化に気付くでしょう。ですから、気分が沈んでいる時、それは砂糖の過剰摂取が原因ではないかと考えてみることも大切です。

2023年に『Frontiers in Public Health』誌が発表した、約1万6千人の肥満の米国人成人を対象とした研究で、食事に含まれる総糖分の摂取が多い人ほど、うつ症状を抱える割合が高いことが判明しました。砂糖の総摂取量が最も多い人は、最も少ない人に比べてうつ病を発症するリスクは50%も高かったのです。この結論は他のメタ分析や前向き研究によって裏付けられています。