中共政府の後押しもあり、中国の国産電気自動車は売り上げを飛躍的に伸ばしてきた。しかし、その欠点やリスクも露呈している。画像は、駐車場で充電中に自然発火した中国の新興EV(電気自動車)メーカー・小鵬汽車(シャオペン)のEV車、2024年1月、浙江省嘉興市。(SNSより)

EV車で後悔する人が爆増 充電に不便、小都市では2人に1人が「買わなきゃよかった」=中国

近年、中共政府の後押しもあって、中国製の電気自動車(EV)の売り上げは飛躍的な伸びをみせてきた。

しかし好景気の時期から一転して経済が低迷する現在では、各地に電気自動車が野ざらしで放置される「EVの墓場」が出現するとともに、走行中の発火事故も多いなど、その欠点やリスクも露呈している。

米コンサルティング大手マッキンゼー・アンド・カンパニーが12日に公表した報告書によると「昨年(2023年)中国の自動車所有者の22%が、EVを購入したことを後悔している」という。この数字は2022年では、わずか3%だった。

マッキンゼー社による同調査は何年も続いているが、昨年はこの10年来で最も「新エネルギー自動車」の需要が低迷した年となった。つまり昨年、中国で行われた自動車の価格競争が、消費者の購入意欲増大につながっていなかった、ということになる。

また、中国の一線都市(北京、上海、広州、深センの超大都市)や二線都市(直轄市や各省の省都のような経済レベルの高い大都市)のEV所有者の「後悔率」は10%であった。

これに対して、それよりも規模の小さい「三線都市(一部の省都を含む中都市)」や「四線都市(小都市)」では、とにかく充電が不便であるなどの理由により「買わなきゃよかった」の後悔率は54%に跳ね上がる。

かねてから中国のSNSでは(中)国産EV車の充電の難しさや航続距離の短さに関する不満の声が、多く上がっていた。

特にこの冬、旧正月(2月10日)前の湖北省の高速道路で、大雪と寒さに閉ざされ、水も食料もなく何日も続いた殺人的な大渋滞では、多くのEV所有者が「絶望的な経験」をしている。

中国では、自家用車をつかった副業やアルバイトに、ネット予約車(インターネット、或いはアプリによる配車サービス、中国語「網約車」)をして収入を増やそうとすれば「必ずEVでなければならない」という規定がある。そんな背景もあるため、EVを買わざるを得なかった人も多くいる。

しかし「中国産EVのバッテリー設計が不合格で、自然発火が頻発している」とする指摘は以前から上がっており、その安全性には大きな懸念が寄せられている。

SNSには通常に使用しながら「自然発火」する中国製EVの動画が、多く投稿されている。

「(中国の)国産車はよく燃える」は、中国の民間では常識になりつつあるが、発火事故が起きても当局によって隠蔽され、国内ではほとんど報道されていない。

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