米国のリンダ・トーマス=グリーンフィールド国連大使(Photo by Chip Somodevilla/Getty Images)

宇宙核兵器配備禁止決議案 日米が国連安保理に提出

3月18日、日本と米国は、宇宙での核兵器の使用禁止を定めた条約の順守を各国に強く要請する決議案を国連安全保障理事会に提出した。

この提案は、宇宙にミサイルを配備する計画があるとされるロシアに対して、その計画を中止するよう強く促す意図があると理解されている。

情報筋によると、米国はロシアが対衛星核兵器の開発に取り組んでいると考えており、衛星の爆発によって、軍事通信から民間のタクシー呼び出しに至るまで、幅広い混乱と重大な破壊を引き起こす可能性があると懸念している。

ブルームバーグが入手した草案によると、この決議は各国に対して、宇宙に核兵器やその他の大量破壊兵器を配備する目的で開発を行わないよう強く促している。

さらに、この決議は、1967年の宇宙条約に基づく各国の義務を「完全に順守」することを再確認しており、当該条約は地球軌道上に核兵器やその他の大量破壊兵器を搭載した物体の配置を禁じている。

この決議案は、ロシアを直接的に名指ししていないが、バイデン政権は数週間前に警告を発し、ロシアが対衛星宇宙兵器の開発を計画していることを指摘していた。情報筋によると、米国は同盟国に対して、ロシアが年内に宇宙に核兵器や模擬弾頭を配備する可能性があると警告している。

国連安全保障理事会の最近の会議では、米国のリンダ・トーマス=グリーンフィールド国連大使は、ロシアがウクライナ侵攻以降、「危険な核に関する発言を行い、多くの軍備管理の義務を放棄した」と述べた。

トーマス=グリーンフィールド大使は、地球軌道上への核兵器の配備は「前例のない危険をはらみ、受け入れがたい」と強調した。

国連安全保障理事会においてロシアは拒否権を有しているため、現在のところこの決議案が承認されるかどうかは不明である。

ロシアとウクライナの戦争が開始されて以来、国連における米国とロシア間の対立は激しくなり、イスラエルとハマスの戦争後はさらに悪化した。両者は互いに提出された提案に対して反対の立場を繰り返し表明している。

ロシアは「宇宙条約」に署名した国の一つである。ロシア国防相は、同国がこの種の武器を開発しているという主張を否定した。

ロシアのドミトリー・ポリャンスキー国連副大使は、提案されている決議が政治的に利用され、「非現実的」であると批判した。

ポリャンスキー副大使はさらに、「提案された決議文は、専門家による厳格な検証を経ず、また、専門的な国際フォーラムでの議論もされていない」と述べ、「その結果、これは単にワシントンによるプロパガンダ戦術であるとの印象を持つ」と表明した。

情報筋によれば、この決議案は数週間以内に投票にかけられる予定である。

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