中国国営企業の国家電網。最近内閣府の再エネ関連会議の提出資料に同社のロゴの透かしが入っていたため、波紋を広げている (Photo credit should read Ed Jones/AFP/GettyImages)

内閣府の再エネ資料に中国国営企業のロゴマーク 中共影響力への懸念広がる

内閣府再生可能エネルギー政策を議論するタスクフォースの会議資料に、中国当局が直接管理する国営企業「国家電網公司」のロゴの透かしが入っていたことが確認され、波紋を呼んでいる。内閣府は当該資料をサイトから取り下げ、提出者より「差し替え」の要望があったと説明しているが、ネット上では多くの公人が疑問を呈している。

問題の資料は22日のオンライン会議で使用されたもの。「エネルギー転換を支える太陽光発電等のさらなる導入促進」を求める趣旨となっている。

内閣府は23日、「中国企業の透かしが入っている」「不正アクセス等による資料改ざんがあったのではないか」との問い合わせを受けて、事実確認を実施した。同日、当該資料は、同タスクフォースの民間構成員の大林ミカ氏により提出された資料であることを明らかにした。

「事務局より大林氏に確認したところ、大林氏が事業局長を務める自然エネルギー財団の数年前のシンポジウムに中国の当該企業関係者が登壇した際の資料の一部を使用したところ、テンプレートにロゴが残ってしまっていたとのこと」などと説明している。

さらに「自然エネルギー財団と中国政府・企業とは人的・資本的な関係はないとのこと」としつつ、「念のため内閣府でも確認を行う」意向を表明した。

国家電網公司は中国国営の電力配送会社だ。中国国有資産監督管理委員会が100%出資し、中国国内の送電網の9割以上を保有・運営する、世界最大級の送電会社である。同社は「習近平思想を深く学び、政治性、思想性、芸術性、大衆性の統一を堅持」すると企業理念を説いている。

内閣府の再生可能エネルギー関連資料に中国当局が直接管理する国営企業「国家電網公司」のロゴが表示されたことに対し、ネット上では多くの公人が疑問を呈している。

国民民主党の玉木雄一郎代表は、「我が国の再エネ政策が中国の影響が及んでいる疑惑であり見過ごすことはできない。内閣府は背景を徹底調査すべきだ。今後、審議会等のメンバー選定にも、ある種のセキュリティ・クリアランスが必要ではないか。再エネ賦課金についても廃止を含め見直しを検討すべきだ」と強く主張した。

再エネ問題など規制改革を担当する内閣府特命担当大臣の河野太郎氏は「先ほど報告がありました。チェック体制の不備でお騒がせしたことについて、今後は対策を強化し同じようなことが起きないよう徹底していきます」と発表した。

これに対し元経済産業省官僚で、東京8区からの出馬を目指す門ひろこ氏は「セキュリティクリアランス法案の審議やエネルギー基本計画の改定が控える中、我が国の政策決定プロセスに他国からの影響への懸念を持たれるなどあってはならない」と強調。「国家安全保障局など他組織の協力もあおぐべき」だと指摘した。

再エネ関連の過去の会議内容にも首を傾げる識者もいる。エネルギー経済社会研究所の松尾豪代表は自身の公式Xで「同会合では、過去様々な提言を行ってきたが、私には日本の国益になるとは到底思えない提言ばかり」だったと公式Xで述べた。

なお、当該資料は「資料提出者であるTF構成員から掲載資料を差し替えたいとの要望があったため現在準備中」(内閣府)として、記事掲載時点ではホームページからの閲覧は不可能となっている。

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