このほど、中国の庶民の間で、宋代に実在した名裁判官「包公」を祀った廟である包公祠に跪いて拝み、ひたすら「自身が受けた冤罪や不公正な扱いによる被害」を泣きながら訴えることが一種のブームとなって巻き起こっている。画像は2024年3月10日、河南省開封市にある「包公祠」の広間で、包公の座る裁判官席に向かって跪いて号泣する女性。(SNSより)

千年前実在の清廉潔白裁判官「包拯」に泣きつくのもダメ 警察が市民を阻止=中国広東

このほど、中国の庶民の間で、宋代に実在した名裁判官「包拯(ほうじょう)」を祀った廟である包公祠(ほうこうし)や包拯の墓に跪いて拝み、ひたすら「自身が受けた冤罪や不公正な扱いによる被害」を泣きながら訴える一種のブームが巻き起こっている。

現代中国で失われた「本当の正義」を求めて市民が千年以上も前の中国に実在した清廉潔白な裁判官(包拯)に泣きつく。なかには、冤罪の「冤」の文字パネルを持参してくる市民もいる。

この「社会現象」を受け、当局は、さっそく事態の収拾に乗り出した。これ以上多くの冤罪が明るみに出るのを防ぐためなのか、あるいは、より多くの民衆がこれを怒りの「はけ口」にすることで、その結果として、民衆の怨みが爆発して収拾がつかなくなり、中国共産党政府にその矛先が向けられることを恐れたからか。

ついに現地当局は「老朽化」と「メンテナンス」を口実に包拯ゆかりの廟や墓を閉鎖するに至った。

画像(左)は北宋時代の清廉潔白で公正無私の名裁判官「包公」を祀った廟(包公祠)で、跪いて拝み、自身が受けた冤罪や不当な扱いを泣きながら訴える中国の民衆。画像(右)は「メンテナンス」を理由に、突然閉鎖された包公祠(SNSより)

「泣きに行く」のもダメ

このほど、包拯が祀られている「包公祠」へ「泣き」(自身が受けた冤罪や不公正な扱いによる被害を泣きながら訴える)に行こうとした陳情民の女性が現地警察から「警告電話」を受けたことがわかった。

広東省広州市に住むこの女性はその時の通話録音をネットに公開している。

それによると、現地警察は身分を表明した後、電話口でいきなり、「あなたたちは明後日、包公祠(広東省肇慶市)に行く計画のようだ、その計画について詳しく知りたい」と告げている。

すると女性は「あなたと何の関係がある? 違法じゃないだろう? そうだ、明後日には肇慶包公祠に行くさ、そこへ行って泣いて、その様子を動画に撮ってネットに投稿するんだ。私を広州や長沙で捕まえてここへ連れ戻されたことも含め、あなた方(警察)は中国の法を守る公民の自由を制限したんだ。あなた方の法執行は正当ではない」と反論した。

「それでは問題を解決できないだろう」

「では、どうすれば問題を解決できるか、教えてよ」

一連のやりとりの後、警察は「では、肇慶包公祠に行って泣くにしても、動画を撮ってネットに投稿してはダメだ」と再度命令した。

しかし女性は、「あなた方が言っている、あれ駄目これ駄目、というのはどの法律に基づいてそう言っているのか?」と再び反論する。

「言っておくが、インターネットは法外の地ではないぞ」と警察は脅しを強めるも、女性は「あなた方警察だってそうだ、法外の人ではないぞ、遅かれ早かれ、清算される時が来る」と返していた。

(「包公祠」で、跪いて拝み、自身が受けた冤罪や不当な扱いを泣きながら訴える中国の民衆。NTD新唐人テレビの報道スクリーンショットより)

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