中国湖南省平陽県の小学校内のクラスの様子(JOHANNES EISELE/AFP/Getty Images)

中国共産党の国語教育は何も教えていない 「金を巻き上げ、命をも危険にさらす」=中国大学教授

最近、中国語のネット上で上海開放大学の教授である鮑鵬山氏の講演が話題となっている。鮑氏は、中国共産党による12年間の国語教育が生徒に何も教えていないとして、「金を巻き上げ、命をも危険にさらす」と強く批判している。

具体的な時期は明らかにされていないが、鮑教授は講演中に自分の息子の教科書と自分の父親が使っていた教科書の比較をした。

現在の小学校の教科書には、小さな雄鶏や白い兎、大きなスイカ、小さなゴマなどの動物や植物の話ばかりで、これでは文化を学ぶことにはならないと直言している。

一方、彼の父親は私塾でわずか2年余り学んだのみであったが、一生涯、文人のような風格を保っていたという。彼が正月に実家に帰った際、父親から家の小さな観音堂のための対聯を依頼されたが、書けなかったと語っている。それに対し、父親はすぐに「廟小無僧風掃地、天高有月佛前燈」と書き上げたそうで、鮑氏はその才能に深く感動している。

現代と過去の教育の比較:大学教授の個人的な体験

以下は鮑鵬山教授の講演からの一部である。

子どもたちが小学校に入ると、彼らは国語の教科書を使い始めるが、その中身は小さな雄鶏や白い兎、大きなスイカ、小さなゴマなどの動植物の話ばかりで、本当の文化学習とは言い難い。

かつて、私は息子の教科書と父が若い頃に使っていた教科書を比較したことがある。

父は2年間、私塾で学んだにも関わらず、一生涯、まるで文人のような品格と振る舞いを保ち続けていた。農村で農業を生業としながらも、彼の風貌は紛れもない文人のそれであった。父は私に詩の美しさを教え、私の詩に対する理解は彼から学んだものである。

ある時、新年に故郷に戻った際に、父は小さなお寺を修復し、新しい観音像を祀っていた。父は私にお寺を飾る対聯(対句)を書いてほしいと頼んだ。私は「どのように対聯を書けば良いのか?」と迷った。家では普通の春聯(新春に書く対聯)のような家の入口に貼るような対聯を書くことはできるが、お寺にふさわしい対聯をどのようにして書くべきか、私には分からなかった。

父はぼんやりしている私を見て、何も書くことができないことに気付いた。問題が何かを尋ねられ、私は「どんな内容を書けばいいのか分からない」と答えた。それを聞き、父は「わかった、教えよう」と言った。

「廟小無声風掃地、天高有月佛前燈」

父は見事な対聯を作り出した。父が建てた寺は小さく、そこには僧侶はおらず、「寺は小さく、音もなく風が吹き抜ける」と表現されている。そして誰も灯を点けてくれる者がいないため、「高い空に月があり、それがまるで仏の前の灯りのようだ」としている。

特に最後の部分は、天に浮かぶ月が仏前の灯りのように見えるという意味である。

これは一体何であろうか? ご存じであろうか?これがまさに文化というものである。

彼が2年間通った私塾での学びによって、人の精神は非常に高いレベルにまで昇華されるのである。その理由は何であろうか?彼が学んだのは「論語」で、それが彼の教科書であった。

一方、私の息子が小学校に入学する際に使用する教科書には、「小公鶏咕咕叫(小さなおんどりがコケコッコーと鳴く)、太陽公公講他一点小花帽(太陽が彼に小さな花の帽子について語る)」といった内容がある。これらの文には一体どんな意義があるだろうか。子どもたちにこれらを暗記させる理由が私にはわからない。

私の父は一生、「論語」と「千家詩」を暗記したことを忘れなかったのである。

現代の小学校、中学校、高校で使われている国語の教科書を見て、あなたは何を記憶しているのか?

12年間の基礎教育で最も時間を費やした科目が、終わった後には、私たちの記憶に実際に価値のある内容がほとんど残っていないのが現実である。

このような教育の真の目的は何であろうかと問われれば、その答えは「謀財害命(金を巻き上げ、命をも危険にさらすこと)」という言葉に凝縮されるのではないであろうか。

多くのインターネットユーザーは鮑鵬山の見解に賛同している。彼らは「中国共産党が行うこの種の低品質ないわゆる教育の主な目的は、国民の思考力を低下させ、党の思想に同調させるための洗脳に使い、憎しみの教育や党への忠誠を育むための環境を整えることにある」と理解している。

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