【寄稿】日本のエネルギー政策、今が建て直し絶好の機会ー安全保障で見直しを
私は経済記者として1990年代後半から日本経済、そしてさまざまな産業を見てきた。中でもエネルギー産業の持つ力の巨大さ、社会全体に影響を与える存在感の大きさが印象に残り、働く人の真面目さに好感を持った。特にその中の電力産業に関心を持った。
また、東日本大震災とそれによる東京電力の福島第一原発事故、さらにその際の大規模停電と被災地のその後も取材した。1985年に大事故を起こしたウクライナのチョルノービリ(チェルノブイリ)原子力発電所にも行った。エネルギー産業の活動には、大変な危険が伴うことも認識した。こうした思い入れを持ちながら、エネルギー問題の報道をしてきた。
ところがそうしたエネルギー産業、特に電力業界で、政策の迷走が10年以上続いている。福島原発事故の後に、「原子力は悪」というイデオロギーや、原子力への反感という感情が、エネルギー問題を語る際に持ち込まれてしまった。それが影響して、さまざまな問題が起きている。その結果、ここ数年は停電危機など電力の安定供給は危うい状況になり、電力会社の収益は不安定になった。そして電力料金は上昇し、私たちの生活は苦しくなり、製造業に悪影響が出ている。今の結果を見ると、直近のエネルギー政策は失敗だったと評価せざるを得ないだろう。
関連記事
失踪から30年のパンチェン・ラマや重刑に直面する黄之鋒、黎智英らを取り上げ、中国共産党による香港・チベットでの弾圧を告発。指導者を奪われ沈黙を強いられる世代の実態と、国際社会が記憶し続ける意義を問う
イタリアからインドネシアへの空母譲渡を機に激変する東南アジアの安全保障を解説。中国の海洋進出に対抗するドローン空母構想や南シナ海・太平洋を巡る米中綱引きの最前線に迫ります
AI業界が求める法規制の裏には、過去の巨大産業と同様に市場を寡占化し参入障壁を築く思惑が潜む。真の危機はSF的破滅ではなく「人間の知性や教育の崩壊」であり、法規ではなく現場での向き合い方が問われている
「世界を一つに」という甘い理想は、いかにして支配や画一化へと変質するのか。「八紘一宇」の光と影、そして現代のグローバリズムがもたらす同質化の脅威を鋭く突く。日本の針路を問い直す、必読の論考
曾祖父から譲り受けた米国債の思い出を機に、難解な現代金融システムの真実に迫るエッセイ。国債やレポ市場、銀行の信用創造、ドルの価値が薄まる本質を、実体経済と市民の視点から平易に解き明かし、財政のあり方を問う