関税をめぐる対立で米国が中国より優位に立つ理由
アメリカの貿易相手国に対する報復関税が、9日に発動される中、トランプ大統領は、中国共産党(中共)に特に強い姿勢を見せている。
トランプ氏は、中国に新たに34%の追加関税を課すと発表し、これによりアメリカの対中関税は合計で54%となる。これに対抗し、中共もアメリカ製品に対して、同じく34%の関税を上乗せし、最初に報復措置を取った国となった。
さらにトランプ氏は、8日までに、中国側が報復関税を撤回しない限り、中国製品に対してさらに50%の関税を課すと7日に警告し、それまでに中国が応じなければ、9日から新たな関税率を発動し、すべての交渉を打ち切ると宣言した。
関連記事
米中両国は貿易問題をめぐる新たな枠組みに合意した。両国は先月スイスで合意した内容を実行に移す方針で、アメリカ側が問題視していた中国のレアアース輸出規制も、この枠組みにより解決される見通しが示された。
5月12日に合意した90日間の米中貿易協定をめぐり、トランプ大統領の「中国は完全に違反した」との発言に対し、中共政府が強く反発。逆にアメリカ側の複数の措置が合意違反だと主張し、報復も示唆している。
中国共産党は関税対抗措置として一時ボーイング機の受け取りを停止したものの、市場の需要を見誤り、わずか1か月で方針を撤回。国産機C919も欧米の認証を得られず、中国の航空産業がいまだ西側技術に依存している実態が浮き彫りとなった。
15日、ブルームバーグは、米通商代表部(USTR)のグリール代表が、韓国の済州島で開催されたAPEC貿易相会議の場で、中国共産党(中共)の李成鋼商務次官と会談したと報じた。
米中はジュネーブでの会談からわずか2日後に暫定的な貿易合意に達した。日常生活を支える製品の多くが中国製である現状では、一律の関税引き上げは物価や供給に大きな影響を及ぼす恐れがある。米政府は、全面的な「脱中国」よりも「戦略的分離」を選択。