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米中が互いに非難 貿易協定をめぐり応酬激化 

2025/06/03
更新: 2025/06/03

中国共産党(中共)外務省の報道官は6月2日、トランプ米大統領が5月12日にジュネーブで合意した90日間の貿易協定について「中国は完全に違反した」と非難したことに反発し、逆にアメリカ側こそが合意違反をしていると主張している。

トランプ氏の側近らは6月1日、トランプ氏と中国の習近平が近日中に電話会談を行う見通しだと明らかにした。ホワイトハウスの国家経済会議委員長ハセット氏は、会談は今週中にも実現する可能性があると述べた。

ハセット氏はABCニュースの取材で「トランプ大統領は今週、習と貿易交渉について良好な会談を行う予定だ。われわれはそう期待している」と語った。

5月30日、トランプ氏はSNSで、「中国がジュネーブ合意を順守していない」と非難。側近らも同日、メディアのインタビューで、中国が4月上旬に実施した重要鉱物の輸出規制に懸念を示した。

米通商代表部のグリア代表はCNBCに対し、トランプ氏の相互関税発表後、中共だけが報復措置を講じたと述べた。

グリア氏はまた、自身が共同仲介したジュネーブ合意の内容として、双方が90日間、貿易措置を一時停止することで交渉を円滑に進める枠組みだったと説明。アメリカは中国からの輸入品と小口輸入品への関税を一部引き下げ、中共は関税および非関税措置、特に直近の重要鉱物輸出規制の撤回に合意していたと述べた。

「ヨーロッパ、日本、アメリカなどでは、約束されていたはずの重要鉱物の供給が滞っていることが確認されている」とグリア氏は指摘した。これらの鉱物は、自動車、エネルギー、防衛産業などに広く使用されている。

米自動車業界の団体は5月9日、トランプ政権に対し、規制により生産停止が起こり得ると警告する書簡を提出。中共が重要鉱物の加工市場を独占する中、輸出規制はオートマチックトランスミッション、スロットルボディ、オルタネーター、各種モーター、センサー、シートベルト、スピーカー、ライト、パワーステアリング、カメラなど、自動車の重要部品に用いられる希土類磁石の供給に影響を及ぼすとした。

自動車業界の経営者らは5月30日、ロイターに対し、「事態はまだ解決しておらず、発給された輸出ライセンスもわずかにとどまっている」と述べた。

ヨーロッパの半導体企業も同様に中共の輸出規制に反発し、5月28日に中共商務省と面会している。

中共の報道官は5月30日、「交渉継続の意思はある」としつつも、輸出規制の見直しには言及せず、規制は国際価格水準に沿ったもので、特定の国を狙ったものではないと主張した。

6月2日、中共商務省の報道官は一段と強硬な姿勢を示し、アメリカが合意違反をしていると非難。特に以下の措置を問題視した。

  • 米商務省による、輸出規制違反を理由としたファーウェイ製「Ascend AI」チップの使用警告
  • 米国務省による、中共関係者を含む中国人留学生のビザを取り消し
  • 中国向け半導体設計ソフトの販売停止(報道のみで正式発表はなし)

中共側は、アメリカは非関税措置に合意していないにもかかわらず、これらの措置がジュネーブ合意に違反していると主張し、対抗措置の可能性にも言及した。

このような応酬は、5月末にシンガポールで開かれたアジア安全保障会議「シャングリラ・ダイアローグ」におけるヘグセス米国防長官の演説でも表面化した。

ヘグセス氏は演説で、インド太平洋地域をアメリカの「最優先戦略地域」と位置づけ、「力による平和」をトランプ氏の方針として伝えた。さらに、中共の威圧的行動、国際水域での挑発、他国へのサイバー攻撃を列挙し、中国共産党との「経済的な結びつき」の「深さ」に警戒すべきだと呼びかけた。

これに対し、中共政府は「演説内容は容認できない」として強く非難した。

 

ニューヨークを拠点とするエポックタイムズ記者。