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米中劇的な関税合意 背景に「中国製依存」と関税戦略の現実

2025/05/15
更新: 2025/05/23

米中は「ジュネーブ会談」からわずか2日後に暫定貿易協定に迅速に合意し、国際社会を広く驚かせた。

多くの人々は、トランプ米大統領がこの勢いを活かし、経済的に大きな打撃を受けている中国共産党(中共)に対し関税を引き下げるべきではなかったと考えている。この措置は中共に再浮上の機会を与える可能性があるからだ。しかし、関連データからは、トランプ氏が柔軟に進退を判断する背景に一定の理由があることがうかがえる。

「USAトゥデイ」サイトは5月14日、アメリカの小売店で販売される日常的な家具や家庭用品のうち、中国製の商品が圧倒的なシェアを占めていることを示すデータを公表した。

例えば、中国製のキッチン鍋類は90%を占め、次いで調理器具や冷蔵庫が87%、テレビや照明器具が48%、ソファが43%、女性向け衣料品が40%となっている。一方、洗濯機や乾燥機の割合は比較的低く、30%にとどまる。

ただし、これらの数字は中国からアメリカへの直接輸出の規模のみを示している。ベトナム、メキシコ、インドなどを経由した迂回輸出や、原産地を偽装した中国製商品の輸出を含めると、その全体規模はさらに膨大なものとなる。

これまでトランプ氏は、製造業をアメリカに回帰させることや「製造業がアメリカを再び偉大にする」といった発言を繰り返してきた。しかし、店舗に並ぶ日用品のほぼ全てが中国製である現状で、関税を一律に課すことは、日用品の品不足や物価の混乱を招く可能性が高い。これはトランプ氏が望む結果ではない。

実際、トランプ氏の関税戦略を具体的に実行するベッセント財務長官は、この点について明確に説明した。

5月12日にCNBCの番組「Squawk Box」で、ベッセント氏は次のように述べた。「我々は中国(共産党)との完全なデカップリングを望んでいるわけではない。我々が本当に目指しているのは、戦略的に不可欠な物資のデカップリングだ。なぜなら、コロナのパンデミックの際に、半導体、医薬品、鉄鋼といった必需品を確保できなかったからだ」。