イメージ画像。美団(メイトゥアン)のフードデリバリー配達員。(Getty Image)
無料注文ブームで疲弊する現場と膨らむ赤字。消耗戦の果てに何が残るのか?

止まらぬ「ただ飯」ブーム 激化する中国デリバリー価格戦

中国のIT業界をけん引する巨大企業アリババと、出前・旅行予約など生活密着型サービスを手がける美団(メイトゥアン)、大手EC企業・京東(ジンドン、JD)が中国のデリバリー市場で激しく競り合っている。

2025年7月、アリババ傘下のタオバオ閃購が500億元(約1兆円)相当の大規模値引きキャンペーンを打ち出し、「15元購入で11元割引」などのクーポンを大量に配布。美団も「0元テイクアウト」や「配達コーヒー2元(約40円)」の超特価で応戦し、京東も遅れながらも100億元(約2,000億円)を投じて追随した。

こうした破格のクーポン乱発に、消費者は「ただ飯」に殺到。7月5日には美団が1日1.2億件(うち飲食が1億件超)、7日にはアリババ系が8000万件超の注文を記録した。だがその裏で、飲食店は注文の急増にパンク寸前、店員は長時間労働に追われ、配達員は心身をすり減らし、極限状態に追い込まれた。

▶ 続きを読む
関連記事
中国経済悪化の中、若者たちは失業や収入減、生活苦に直面している。駅で野宿する人も多く、就職も困難。中国共産党発表とは対照的に、現場の実態はより深刻だと語られる
中共政府の注意喚起後も日本行きフライトは満席が続き、多くの中国人旅行者が通常通り渡航している​
中国の第3四半期直接投資は前期比51%減。多国籍企業の撤退が加速し、経済の先行き不透明感が深刻化している。
現役上将の約4割が軍紀委調査対象となり、軍事法廷への移送が進行。忠誠審査と権力集中が軍内部で加速し、制度的粛清へと展開している。
四中全会を前後し、軍の張又侠派と習近平が台湾方針を巡り激しく対立。大規模粛清が続き、両派の対抗が深まり、軍内権力図も変化している。