令和7年版 防衛白書(提供 防衛省)

2025年版防衛白書 中国共産党軍の活動拡大を強く懸念 「戦後最大の試練」

日本政府は7月15日、2025年版防衛白書を閣議で了承し公表した。今回の防衛白書では、中国による日本周辺での軍事活動の活発化を強く懸念し、「わが国の安全に深刻な影響を及ぼし得る状況」と明記した。また、国際情勢について「戦後最大の試練」という表現を用い、ロシアのウクライナ侵攻や北朝鮮の兵器開発など、厳しさを増す安全保障環境を詳しく分析している。

白書は、2024年4月から2025年3月までの主要な安全保障分野に焦点を当ててまとめられた。特に中国については、尖閣諸島周辺、東シナ海、日本海、西太平洋など、いわゆる第一列島線を超え、第二列島線まで日本周辺での中国の軍事活動が広がっている。

昨年8月の情報収集機による長崎県男女群島沖での領空侵犯や、9月には中国海軍空母「遼寧」の日本周辺での航行などを具体例に挙げ、領空侵犯や領海近辺での活動拡大を詳細に記述している。また、中国が海警局と連携し、武力によらない現状変更を試みている「グレーゾーン事態」の能力向上にも警戒感を示した。さらに、台湾周辺での作戦訓練が台湾統一に向けた動きの一環である可能性についても初めて指摘した。

▶ 続きを読む
関連記事
中国共産党海軍の空母「遼寧」を中心とする艦隊が太平洋上で活動し、艦載機の発着艦訓練を集中的に実施した。防衛省は自衛隊艦艇や哨戒機を投入し、継続的な警戒監視と情報収集を行っている
中国共産党海軍の情報収集艦が沖縄・宮古島周辺海域を航行したことが確認された。防衛省は海自哨戒機を出動させ警戒監視を実施。南西諸島周辺で続く中共海軍の活動が改めて浮き彫りとなった
中国共産党政権が日本に対して軍事的・経済的圧力を強めている背景には、国内の不安定化と社会不安の深刻化を覆い隠す狙いがあるとみられている
日本の小泉進次郎防衛大臣は12日、米ヘグセス国防長官と電話会談。中国軍J-15が自衛隊F-15を30分ロックオンしたレーダー照射事件に深刻懸念を示し、日米同盟の抑止力を強調。中共・露共同巡航も協議した
統合幕僚監部は10日、航空自衛隊と米軍が日本海上空で共同訓練を実施したと発表した。訓練は、力による一方的な現状変更を許さないという日米の意思を示し、地域の安全保障環境の悪化に対応するために行った。令和7年12月10日に実施、自衛隊からF-35およびF-15戦闘機が、米軍からは戦略爆撃機B-52が参加した