虚構が作る歴史『ベルサイユのばら』と歪められた日本人の革命イメージ
第3回:バスティーユ襲撃の真実――革命の血塗られた幕開けと歴史の再考
漫画『ベルサイユのばら』の映画版は、昨年(2024年)の秋に公開された。原作の漫画は池田理代子氏によって描かれたものであり、「少女漫画」あるいは「恋愛小説」と呼ばれるジャンルに属している。本記事はこの映画、そして原作漫画について論じる全5回シリーズの第3回目の記事である。
この映画は、フランス革命の要として描かれる1789年7月14日のクライマックスで終わる。しかしながら、ここでもまた作者は、いまや真摯な研究を行う歴史家の誰一人として支持しない、共和国の公式見解をなぞるものでしかない。この日が歴史上特別に重要でなかったことはよく知られており、むしろ革命軍による虐殺の始まりの日であったことで広く知られている。
さらにここで、映画は厚顔無恥にも事実を捻じ曲げる。王党派の将校およびバスティーユの兵士たちが発砲し、激しく抗戦して多くの血が流れたかのように描写するが、それは虚偽である。実際には、バスティーユの指揮官は発砲を拒否し、崩壊寸前の要塞の門を開放したのである。だが、その結果として彼は槍の穂先によって首を刎ねられることとなった。
関連記事
世界一の長寿企業国・日本。創業1400年の金剛組や500年のとらやなど、300年を超える老舗には利益よりも大切な「家訓」があった。時代が変わっても揺らぐことのない東洋の道徳観「義」の精神と経営の真髄に迫る
米国防総省は調達制度を刷新し、低コスト・大量生産のドローン戦略へ転換。「ガントレット」試験により企業を実戦環境で即時選抜し、迅速配備と技術更新を実現する
ウクライナ軍のドローン主導戦術が、ロシアの大規模装甲攻勢を撃退。低コスト兵器が高価な戦車を無力化し、戦場の構造と戦術を根本から変えつつある
パナソニック創業者・松下幸之助が掲げた「水道哲学」と儒教の「仁」の思想の響き合いを描いた一文。モノづくりを通じて人々の生活を支え、社員の人格を育んだ希代の経営者の哲学と、その真意に迫る
中国による南太平洋への弾道ミサイル発射と米豪への影響、それに応じたインドの軍事・外交的対抗策、そしてトランプ政権下での米国の孤立主義回帰による「インド太平洋戦略」の変容と今後の国際情勢を解説する