2013年3月4日、中国の北京にて、天安門から双眼鏡で広場を監視する2名の中国武装警察 (Photo by Lintao Zhang/Getty Images)

無人機の高官暗殺利用を懸念か 北京で過去最大級の規制強化

北京市人民代表大会は3月27日、「北京市無人航空機管理規定」を可決した。無人機の飛行に加え、販売や輸送、保管などについて厳格な規定を定めており、今年5月1日から施行される。

新たな規定では、すべての屋外飛行に事前申請が必要とされ、所有者は4月30日までに実名登録を行い、運用状況や保管場所などを警察に報告する義務を負う。

今回の規制強化について専門家は、海外で相次ぐドローン攻撃が影響している可能性を指摘する。米国の中東にある複数の大使館がイランのドローン攻撃を受けたほか、ロシア・ウクライナ戦争やイラン戦争でもドローンが幅をきかせている。

台湾の著名な軍事戦略研究者である蘇紫雲氏は、「北京市は中国共産党の各部門が集中し、習近平の主な活動拠点でもあるため、無人機に対して生産から使用まで一体的に管理するチェーン型の統制を採用した」と分析している。民間でのドローンの兵器化を防ぐ狙いがあるとしている。

台湾の著名な軍事戦略研究者 蘇紫雲氏:「いわゆるこのチェーン型の管理方式とは、生産、輸送、保管から最終的な使用に至るまで、すべてを厳格に統制するものだ。購入者の実名登録も含まれる。これは他国のように、空港周辺や航路下の安全確保だけを目的とするものではなく、無人機が高官への攻撃手段や反政府活動の手段となることを防ぐためのものだ」

また、台湾国防部系シンクタンク「国防安全研究院」の謝沛学副研究員は、ドローンが「低空・低速・小型」で従来のレーダーに捕捉されにくい性質を持つと説明。政治・経済の中枢地域において、プライバシー侵害や重要会議の妨害、さらには攻撃手段としての潜在的脅威となり得ると述べた。現在、各国政府はすでにドローンを戦術的な攻撃装備、さらには国家戦略資産の一つとして位置付けているという。

国防安全研究院の副研究員 謝沛学氏:「近年、無人機は本来デュアルユースの性質を持っており、民生用にも軍事用にも使用できる。最近では、ナゴルノ・カラバフ紛争やロシア・ウクライナ戦争、さらに現在の中東における戦闘など、多くの戦場で、この安価な民生用ドローンが偵察に活用され、さらには簡単な改造によって攻撃兵器としても利用可能であるという、非対称的な価値を十分に示している」

新たな規定では、北京市全域をドローンの管制空域と明確に定め、すべての屋外飛行活動に申請を義務付けた。公安当局の許可がない限り、個人や団体へのドローンおよび17種類の指定核心部品の販売・貸与も禁止される。

さらに、北京市六環内では同一地点において3機を超えるドローン、または10点を超える核心部品の保管が禁じられた。

中国当局はすでに2023年と2024年に全国レベルのドローン管理規定を発表しており、昨年8月には北京全域の空域を制限区域に指定している。今回の新規定はこれをさらに拡大する内容となる。

謝氏は、この政策により民生用ドローンの参入障壁が高まり、一般層におけるドローン文化の急速な冷え込みを招く可能性があると指摘した。

謝沛学氏:「技術的な観点から見ると、市場は大企業へと集中していくことになる。このような煩雑な審査手続きは企業のコンプライアンスコストを大幅に引き上げるため、中小規模のドローン関連スタートアップ企業の生存は困難になる可能性がある。市場資源や研究開発技術は、特許営業権を取得できる一部の先進的な企業、あるいは国有資本を背景とする企業へと集約されていくだろう」

謝氏は、今後の技術開発も、遠隔識別や改ざん不可能な飛行記録など、政府による監督を容易にする機能に重点が置かれるとみられる。

これまで中国当局は、無人機を代表とする「低空経済」の発展を大々的に宣伝し、中国式現代化の推進に資するものと位置付けてきた。

謝沛学氏:「北京当局が推進する低空経済は、主に産業レベルでの応用に焦点を当てている。例えば物流配送や、eVTOL(電動垂直離着陸機)といった空飛ぶクルマ、農業分野での防除、都市インフラの点検などだ。こうした活動は今後、個人向けの消費用ドローンに対する制限を強める可能性がある。ある意味では、政府に許可された商業活動や公共サービスのために、より統制な空域になるだろう」

さらに、謝氏は、中国の政策運営は今後「低空経済」を政府主導の特許事業として発展させる方向に進み、民間企業の参入や利用には一層厳しい制限が課される見通しだ。

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