これまで腎不全は回復が難しい慢性疾患とされてきましたが、医師の臨床経験からは、中薬による体質改善と正しい生活習慣を取り入れることで、なんと95%の腎不全が改善可能であることがわかってきています。台湾・宜陞中医診所の院長、呉宏乾医師はこう強調します。「ポイントは、適切な食事療法と、特に高血圧・高血糖・高脂血症といった慢性疾患の的確な管理にあります」
腎機能の乱れを示す3つのサイン
腎不全の多くは、腎機能がすでに深刻に損なわれてから診断されることがほとんどです。しかし、呉宏乾医師は、腎機能の異常は初期段階でも明らかな警告サインがあると指摘し、次の3つの兆候に注意することで、早期発見が可能だと述べています。
- 泡立つ尿:尿にタンパク質が多く含まれると、泡が細かく粘り気があり、水を流しても便器の縁に泡が残ることがあります。
- 頻尿:日中、目覚めている時間帯に排尿の回数が8回を超えるようであれば、腎機能の異常を疑うべきです。
- 夜間頻尿:1ヶ月間の平均で、夜間に3回以上トイレに起きる場合も、腎臓の問題を強く疑うサインです。
呉医師は、これらの症状のいずれかが現れたら、すぐに医療機関での検査を受けるよう勧めています。さらに、普段から味の濃いもの、糖分の多い飲食、冷たい飲み物を好み、不規則な生活を送っている人は、腎機能の検査を毎年の健康チェック項目に加えるべきだと述べています。
糖尿病は腎不全になりやすい最大のリスク要因
呉医師は、臨床経験から高血糖・高血圧・高脂血症の人、特に糖尿病患者が腎不全を発症しやすいことを明らかにしています。彼によると、高血糖は血管に慢性的な炎症を引き起こし、腎臓の糸球体のろ過機能を低下させてしまいます。さらに、高脂血症――特に中性脂肪やコレステロールの数値が高い状態は、血管の硬化や詰まりを招き、糸球体の解毒能力に悪影響を与えます。そして長期的な高血圧は、腎臓の血管壁を傷つけ、腎臓に過度な負担をかけ、腎機能の悪化を早める要因になります。
呉医師は、腎疾患を持つ患者が腎機能を改善したいと考えるなら、まず「高血糖・高血圧・高脂血症」をしっかり管理することが最も重要であり、それに加えて個人に合わせた中薬(漢方)による調整を行うことで、より顕著な改善が期待できると強調しています。
実際、彼が臨床で観察した300例の腎不全患者のうち、高血糖・高血圧・高脂血症のコントロール、中薬での体質改善、さらにはカリウム過多や腎臓に負担をかける漢方薬材を除外した結果、約95%のケースで腎機能の回復が見られました。中には、糸球体濾過率(GFR)が20台から約60まで回復した患者が4〜5名おり、中医学の調整と生活管理を組み合わせることで、腎不全の効果的な改善が可能であることが裏付けられています。
腎不全を早める5つの食習慣
食生活は血液の健康と密接に関わっており、腎臓病の予防において非常に重要です。呉医師は、腎機能を悪化させる5つのよくある誤った食習慣を挙げています。
- カリウム・ナトリウムの摂りすぎ:濃い味付けの食べ物を好むと、カリウムやナトリウムの摂取量が多くなり、高血圧のリスクが高まり、腎臓にダメージを与える原因になります。
- 揚げ物の過剰摂取:質の悪い油を多く摂取すると、コレステロールや中性脂肪が血中に蓄積され、血管に悪影響を及ぼし、結果的に腎臓にも負担がかかります。
- 水分不足:体が水分不足になると、腎臓が毒素を排出する能力が大きく低下します。呉医師は、1日の水分摂取量は「体重(kg)×30~35ml」が目安で、運動をする人はさらに多くの水分が必要だとしています。
- 濃いスープの過剰摂取:濃いスープは、野菜や肉を煮込んで作られ、カリウムやタンパク質が豊富なため、腎機能の弱い人には負担になります。呉医師は、腎臓が健康な人でもスープを飲んだ後はしっかり水を飲むべきであり、糸球体濾過率(GFR)が45未満の人は、濃いスープの摂取を避けるべきだと警告しています。
- 中薬(漢方)の自己判断による服用:医師の診断を受けずに中成薬を服用すると、腎臓に有害な成分が含まれていることがあります。必ず資格を持つ中医師の処方に従い、自分の体質に合った漢方薬を用いるべきです。
腎臓を整えるための4つのデトックス習慣
腎臓の健康を維持し、腎疾患を予防するために、呉医師は以下の4つの日常的なセルフケア法を提案しています。
- こまめな水分補給:日頃から十分な水分を摂ることで、腎臓のデトックス機能を助けることができます。
- 十分な睡眠:夜間の睡眠中は体の修復が進み、腎臓への負担を軽減する効果があります。
- 規則正しい運動:適度な運動は血液循環と代謝を促進し、腎組織の修復をサポートします。
- ツボマッサージ:「太渓」というツボは腎経の原穴であり、ここを刺激することで腎機能の向上が期待できます。太渓は足の内側、内くるぶしとアキレス腱の間のくぼみに位置しています。呉医師は、普段から丸い先端のマッサージ棒で太渓を押したり、乳液を塗ってからかっさ板で軽くなでる方法を勧めており、肌がうっすらピンク色になれば十分とのことです。
まとめ
腎臓のケアは、食事、生活リズム、水分補給、運動など日々の習慣から始まります。沈黙の臓器とも言われる腎臓を守るためには、日頃から体のサインに耳を傾け、丁寧に向き合うことが大切です。
(翻訳編集 華山律)
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