最近こんな症状はありませんか?
顔色が青白く、声が小さくて力が入らず、話すのも億劫に感じる。
疲れやすく、やる気が出ない。少し動いただけで息切れしてしまう。
風にあたるとすぐ風邪を引く。寒さに弱く、手足がいつも冷たい。
咳をするときに力が入らず、痰は透明で水っぽく、色は白っぽい。
舌の色が薄く、舌苔(ぜったい)が白い。
中医学の専門家である胡乃文医師は、「このような症状が5つすべて、あるいはいくつか当てはまる場合、肺のエネルギー=『肺気』が不足しているサインかもしれません。たとえ3つ程度であっても、肺をしっかりケアする意識が大切です」と話しています。
中医学では「肺は全身の『気』を司る」とされ、この「気」とは呼吸する空気だけでなく、体内を巡るエネルギー全体を指します。肺の働きがしっかりしていれば、体中に酸素が行き渡り、活力に満ちた状態を保てます。また、免疫力にあたる「衛気」も肺と深い関わりがあります。肺のエネルギーが不足すると、免疫力も低下し、風邪を引きやすくなったり、咳や鼻水が出やすくなったりするのです。
肺を補う伝統のストレッチ
では、昔の人はどのようにして肺を養っていたのでしょうか? 胡医師は、エポックタイムズのインタビューで、何百年も受け継がれてきた肺を養うための簡単ストレッチを紹介しています。
やり方は次のとおりです:
- 左脚をまっすぐに伸ばし、右ひざを曲げて座る。
- 上半身を前に倒し、深くゆっくりと5回呼吸をする。

この動作によって肺のエネルギーが補われ、全身のエネルギーの流れがスムーズになります。また、身体に害を与える「風邪(ふうじゃ)」と呼ばれる外部の悪影響も取り除く効果があります。さらに、目のかすみやめまい、咳といった症状も、多くはエネルギー不足が原因とされています。このストレッチを続けることで、そうした不調の改善が期待できると胡医師は語っています。
ツボ押しで肺を元気に 咳や息苦しさ、胸の圧迫感にアプローチ
中医学では「経絡」とは、体内のエネルギーが流れる通路と考えられています。肺のエネルギーは腕の内側を通る「肺経」を通って親指へと流れており、この経路にあるツボを刺激することで、肺に関するさまざまな不調を改善できるとされています。
臨床実験では、鍼治療が慢性閉塞性肺疾患の呼吸困難をやわらげる効果があることが確認されています。偽の鍼治療を受けたグループと比べ、実際に鍼を受けたグループは歩行時の呼吸がスムーズになったという結果が出ています。
ただし、鍼を受けるのが難しい場合は、自宅でツボをたたいたりマッサージしたりすることでセルフケアも可能です。胡医師は、「肺経」にある「魚際」というツボを軽く叩くことで、咳や息切れ、胸の圧迫感、声帯の炎症といった症状の改善が期待できると勧めています。
やり方:魚際は、手のひらの親指側にあるふくらみの部分にあります。親指の付け根と手首を結んだ中間地点で、手のひらと手の甲の境目にあるくぼみが目印です。左右の手の魚際を軽く打ち合わせるように30〜50回ほどたたきましょう。これを毎日続けることで、肺の健康維持に役立ちます。

喉の痛みに即効ケア:耳のツボをマッサージ
咳が続くと喉が痛くなることもありますが、そんなときにも中医学には簡単な応急処置があります。
胡医師がすすめるのは、耳にある2つのツボ「咽穴」と「喉穴」のマッサージです。咽穴は外耳道の真上、時計の12時の方向、喉穴はそのすぐ横、10時から11時あたりに位置しています。これらのツボを1〜3分ほど、軽く押したり揉んだりすると、じんわりとした痛みを感じることがありますが、それが正しくツボを刺激できている証拠。喉の痛みを素早く和らげる効果が期待できます。

話題の咳止めドリンク:りんごと玉ねぎの温活水
天候が変わりやすい季節には、咳や喉の乾燥・かゆみに悩まされる方も多いのではないでしょうか。そんなときは、ツボ刺激だけでなく、温かい飲み物で肺をうるおし、体を内側から温めるのもおすすめです。胡医師が紹介するのは「りんご玉ねぎ水」という、風味も良く、体にやさしい養肺ドリンクです。
「この飲み物は、単に症状を抑えるのではなく、肺のエネルギーを整えることで、体のバランスを自然に回復させる効果があります」と語ります。
作り方:
- りんご2個と玉ねぎ1個を細かく刻みます。
- 大きなボウルの中央にカップを逆さに置き、そのまわりに刻んだりんごと玉ねぎを敷き詰めます。
- 電気鍋を使う場合、外鍋に500ccの水を入れ、蒸しあがるまで加熱(自動で止まるまで)。または通常の蒸し器で45分間蒸します。
- 蒸すことで出てきたエキスがカップの中に溜まります。りんごと玉ねぎをトングなどで取り除き、カップにたまった液体をそっと注いで完成です。
※蒸した後のりんごと玉ねぎは、カレーなどの料理に再利用することもできます。
胡医師によると、この「りんご玉ねぎ水」を1週間ほど続けて飲むことで、肺のうるおいを保ち、咳をやわらげるほか、顔色まで良くなる効果が期待できるとのことです。
ではなぜ、この飲み物にそんな効果があるのでしょうか? 研究によれば、りんごに含まれるポリフェノールには抗炎症作用があり、玉ねぎは「ケルセチン」という成分を非常に多く含んでいます。ケルセチンには炎症を抑える働きと免疫調整作用があり、喘息やアレルギー性鼻炎にも効果があるとされています。
肺を元気にする7つの食材 毎日の食事から肺ケアを
肺の健康をより広い視点で整えたいときは、飲み物だけでなく、普段の食事にも気を配ることが大切です。
ニューヨーク・ノーザンメディカルセンターのCEOであり、中医学の家系を継ぐ楊景端博士によると、現代医学が栄養素に着目するのに対し、中医学では「食材の持つエネルギー的特性」が重要視されます。具体的には、色、味、寒熱(体を冷やす・温める)といった性質、そしてそれぞれの食材が作用する臓器系「帰経」が考慮されます。
中医学において、白は肺と結びつく色とされており、肺をうるおす食材は白いものが多い傾向にあります。また、寒性の食材は体の熱を鎮め、熱性の食材は体を温める性質があるため、バランスよく取り入れることで、体全体の調和を図ることができます。
以下に紹介する7つの食材は、いずれも「肺経」に作用し、肺のエネルギーを補ってくれるとされています。
1. 山芋:白くてやさしい甘みがあり、エネルギーは穏やか。肺、脾、腎の3つの経絡に働きかけます。
楊医師によると、中医学の五臓理論では、肺を養うためには脾と腎も一緒に整える必要があります。ここでいう脾は膵臓などを含む消化器系全体を指し、肺は胃腸から栄養を受け、腎は肺から支えられています。腎のエネルギーが弱いと、肺の力も落ちてしまうため、淮山はその3つすべてを助ける貴重な食材です。
2. 白きくらげ:ゼラチン質が豊富で、体に潤いを与え、乾いた咳をやわらげる「肺の保湿クリーム」のような存在。
胡医師は、白きくらげはしっかり煮込んでゼラチン質を引き出し、とろみのある状態にすると、より高い効果が期待できると勧めています。
3. 大根:痰を出しやすくし、咳を止める作用があり、痰が多い人や喉がかゆくなりやすい人におすすめ。生で食べるのも、スープにするのもOKです。
4. もち米:胃腸と肺を温め、疲労回復に役立ちます。もち米は温性で甘く、肺・胃・腸の3経に働きます。冷え性や疲れやすい人、胃腸が弱い人、汗をかきやすい人にとくに効果的です。
ただし、楊医師は「食べすぎは消化に負担がかかるので、少量を心がけましょう」と注意を呼びかけています。
5. はちみつ:肺をうるおし、腸を整えて乾いた咳をやわらげます。甘くて穏やかな性質で、胃・肺・大腸の経絡に働き、体が弱っている方や慢性的な乾燥性の咳、便秘、肺の炎症からの回復期、高齢者などにおすすめです。ただし、糖尿病の方は控えめに。
6. 鴨肉:体を冷やす性質で、しょっぱい味が特徴。胃腸・肺・腎の3経に作用し、口の渇き、咳、手足のほてり、不眠や寝汗、イライラしやすい方に向いています。
7. 梨:肺をうるおし、痰を減らし、体の熱を冷まし潤いを生みます。甘みとやや酸味があり、体を冷ます性質。肺と胃の経絡に働き、喉の渇きや乾いた咳、便秘が気になる方に適しています。
肺の健康を守るのに、特別な薬や高価な食材は必要ありません。日々のちょっとしたツボ押し、食事の工夫、そして軽い運動で、肺のエネルギーをしっかり養い、免疫力も高めていくことができます。今日からさっそく、魚際のツボをやさしくたたいたり、りんごと玉ねぎの温かい飲み物を飲んでみたり、白い食材を意識して食べてみることから始めてみませんか? 呼吸器と肺の健康を守るために、無理なくできる小さな習慣を取り入れていきましょう。
(翻訳校正 華山律)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。