一触即発の中国金融危機(上)

2006/07/20 09:03
 【大紀元日本7月20日】先日、温家宝は、多くの部委の開催による金融問題に関する会議において、次のように述べた:金融システムにおいて出現している問題には、数十億、数百億、数千億元という経済的代償を伴いうる。また、局部的、全面的な社会動乱という政治的代償を伴いうるものである。しかし、これは、特定の部門、指導者に負いきれるものではない。

 金融危機は、既に、中共政権にとって不可避な、手を焼く問題となっており、中国の金融危機がいつ発生するのかが、世界各界の関心の的となっている。この点について、記者は、評論家の草庵居士(米国・パンアメリカンキャピタルグループ副総裁)、経済評論家である伍凡に取材を行った。

 草庵居士によると、現在、中国の金融危機は、経済崩壊へと非常に接近していると述べている。

 伍凡によると、中国において、金融危機は既に存在していたという。これに関連し、ネット上で、関連する政府の数字と、温家宝の講話が公開されている。

 伍凡:温家宝は、中国最高の行政長官であり、かつ、経済の責任者であり、以前、副総理の任に就いていた際には金融の責任者であったことから、彼は中国の金融に最も通じています。そして、昨年11月、彼は警告を発し、中国には3つの爆弾があり、その第一が金融危機であると提起しました。

 私は、彼の話を信じます。なぜなら、彼は、テーマ報告の場において、専門家から3つの危機について、公に提起されましたが、彼はその場において黙認し、何の話もしなかったのです。

 専門家が3つの危機について述べ、彼がこれを認めたのは、去年の11月でした。しかし、今年5月、温家宝は、国務院の会議を2度開催しました。その一つは国務院常務会議で、もう一つは、専門家が金融危機について論ずる会議で、いずれも、銀行、証監会、銀監会、財政部の部長、上層部クラスが参加しました。その中で彼は、皆に対して、数字、記録、報告を聞いて、ただ過度に発奮し、ひいては陶酔するようであってはならないことを求めました。彼の意図は、中国の外貨準備がいくらあるとか、中国のGDPがどれだけか、中国は世界第4の経済強国である、世界の工業大国であるなど、過度に発奮、陶酔するのではなく、危機がどこにあるのかを真に見極めることが必要であるということです。その危機とは、まさに金融危機なのです。

 私たちが、一般に金融というとき、貨幣の流通のことをいいます。貨幣の流通は、人体の血管を流れる血液に等しいもので、全身をいたわり、育むものです。仮に、あなたの血液の流れが悪くなった場合、あるいは流血によって血液の流れが絶たれた場合、あなたは死にます。あなたの人体が死ぬのです。あなたを国家という経済体になぞらえれば、(貨幣の流通が滞れば、)経済全体の活動が中断され、死ぬのです。だから、彼が提起したことは非常に危険なことなのです。

 草庵居士によると、現在、中国の経済危機は、既に、経済の崩壊へと非常に接近しているという。彼は、中国大陸においては、2008年から2010年の間に経済が崩壊すると主張してきたが、その原因は、もちろん、中国の金融上における問題である。

 草庵居士:中国大陸においては、現在、非常に奇怪な現象が起こっています。大陸の金融、経済の責任者である温家宝が、中国において発生している経済現象は非常に恐ろしいもので、経済危機が随時勃発する可能性があり、大きな動乱を引き起こすということを最近、ずっと強調して述べています。温家宝は、この話を2回、つまり、昨年に1回、今年に1回していますし、中央の上層部の会議において常に話しています。もちろん、話した内容は、国内で公表されています。

 

 彼は、なぜこのような話をするのでしょうか。実際のところ、彼ら上層部は、この問題を深く認識しているのです。しかし、中国の民衆はまだ知りません。この点において、温家宝には一つの考えがあるのです。といっても、これは私個人の推測ですが、彼が認識しているこの問題が一旦出現すれば、彼はその責任を取ることができません。だから、彼が、今この話を示唆し、民衆に知らせておき、(事後的に、)この問題は、とうに話しています、皆が私の話を聞かなかった、あるいは、中央の政策が執行できなかったのだから、責任は自分にない、ということにしようとしているのではないでしょうか。

 伍凡の指摘によると、中国の金融問題は絶えることなく発生しており、古いものもあ

 れば、新たに発生したものもあり、古いものと新しいものとが積み重なっている。最も突出し、かつ最も普遍的な原因は何か?それは、中央の命令が下に伝わらないことである。下は、地方主義、惰性主義にとらわれ、法規違反、相互に結託しており、こうした現象が、事実上毎日発生するとともに、悪化、蔓延しているという。

 伍凡:温家宝が総理に就任したとき、彼は、積極財政を止めました。積極財政とは何でしょうか。それは、実のところ赤字財政であり、懸命に公債を発行し、多くの紙幣を発行することで、国有企業の損失補填をしていたのであり、これを財政政策と呼んでいたのです。その目的は、GDPの引き上げでした。朱鎔基が総理の任についていた5、6年間、第二期にあったとき、中国経済全体を停滞させたのです。当時の最も顕著だったのは、次の政策です:1997年、朱鎔基は、財政部及び中国人民銀行に、こうした金融危機を解決するよう命令しました。どう解決したのでしょうか?当時、国有企業は赤字で、その規模は、1兆4000億元に達していました。

 ご存知のように、10年前、中国の財政は、それほど強く、それほど大きくはありませんでしたが、既に、1兆4000億元の赤字が存在し、1年間の全国GDPに

 近い規模となっていたのです。結果として、1兆4000億元のすべてを、銀行の

 不良債権から切り離したのです。この切り離しの後、銀行の債務はなくなり、4つ

 の債権回収会社(資産管理会社)が設立され、国有企業からの債権回収を緩

 慢に行っています。

 国有企業と、この4つの債権回収会社は、契約を結びましたが、その内容は、

 今後10年、20年、30年で、ゆっくりと債務を返済し、返済できなければ破産を宣告するというものです。つまり、返済できれば返済し、返済できなければ倒産させるという方法を採用したのです。しかし、こうした資金の来源はどこなのでしょうか?国庫による借金です。

 しかし、去年、2005年に、温家宝が3つの経済危機について語った時、彼は、国庫において、更に1兆8000億元の借金をしたと述べました。10年と経たないうちにです。この、当時の数字、1兆4000億元、1兆8000億元で、既に中国のGDPの半分近くを上回っています。このような場合に、貨幣がどうして流通するのでしょうか。どこに流通する術があるのか、私は非常に疑っています。

 中央は、最近、不動産に係る政策として、不動産に対し、15条、次いで国5条の二つの政策を打ち出したが、草庵居士は次のように述べている。

 草庵居士:しかし、中国大陸の不動産については、多くの大都市において、価格が下落するどころか上昇しており、住宅市場は、投機すればするほど熱くなっているのです。だから、温家宝は、数回にわたる会議において、不動産を調整して、中国経済を冷却化することを求めましたが、解決にはなりませんでした。

 最も明白な問題は、中国銀行の国民向け貸出額の数字について、第1四半期において、年全体の指標の金額を既に貸し出してしまったのです。今後の3四半期の貸出枠は、この指標の半分しか残っていません。こうした状況は、以前において出現したことはありません。

 さらに、こうした貸出はどこに向かったのでしょうか?70%が不動産会社に向けられたのです。この点、中国の金融における生産企業向けの貸出は、わずか30%しかないことがわかります。生産企業は、就職問題の解決及び経済発展のために、中国が最も安定に努めるべき問題なのです。しかし、中国はここに資金を投じていません。30%を製造業と商業に、70%を不動産業に投じたのです。これは非常に危険な状態です。また、この状態から明らかなことは、中国大陸の現在の経済運営状態が非常に悪く、製造業、サービス業、商業のいずれもが、利潤がゼロか、あるいは利潤が非常に少ないか、または、生産品の消費が不振であることから、誰もが、儲からないこれらの分野に投資をしたがらず、不動産に投資をするのです。不動産は、稀少性ある土地資源によってお金を儲けるものであり、しかも、暴利をあげることができます。ここに、経済に非常に大きな影響を与えている事情があるのです。

 伍凡は、今年5月の会議開催後に政府がネット上で新たな資料を公表した資料及び数字に基づき、国家債務をいくつかの側面から分析している、

 伍凡:第一に、国家財政部は、2001年5月から2005年の3月までの約5年間にかけて、財政部は4大国有銀行に資金を注入しましたが、これは非常におかしなことで、海外の銀行ではこうしたことはありません。

 海外の銀行について、財政部が資金を注入することはありません。銀行は、自分で顧客の預金を集め、経営をしなければならないのであり、民間銀行はこうして経営しています。中国の銀行は国家の銀行であり、民間からの預金が不足し、なくなれば、国庫の資金を注入するのです。そして、15回の資金注入をしました。5年のうちに、15回、3兆4700億元の資金注入をしました。これは、銀行の債務を国家が肩代わりしたことに等しいのです。次が、私が先ほど述べた朱鎔基による不良債権の切り離しです。この時に切り離した金額1兆4000億元を加えますと、財政部は、4大国有銀行に対し、この十数年間でどれだけの資金を注入したのでしょうか?4兆8700億元です。これが、第一の局面における債務、すなわち、財政部が銀行に注入した資金です。

 草庵居士は、中国経済全体について、極めて大きな問題が発生していると指摘し、次のように述べている。

 草庵居士:中国の多くの民衆は、中共が、数十年間の執政期において、経済を発展させてこなかったことから、よい住宅が不足しています。しかし、中国の現在の不動産の価格は、ともすれば1平方メートル1万元にも上っており、こうした価格では、都市の民衆が住宅を購入するのは困難です。北京の場合、一個人の収入が月3000元であれば、高収入に属するといえます。この収入に基づけば、2、30万元の住宅が買える程度です。

 米国の標準からみて、中国において2,30万元で買える住宅とはどのようなものなのでしょうか?2,30平方メートルで、寝室が一つで、フルセットの住宅を買うことはできません。だから、こうした状況の下では、不動産全体がバブル化しているということが非常に明白です。更には、現在の中国大陸において、1億平方メートルの住宅が空室状態です。現在、中国の債務が増加を続ける中で、住宅が売れなくなっています。この状況は、中国の金融、経済全体において、極めて大きな問題が発生していることを示しています。

 伍凡は、上記の分析を次のように続ける。伍凡によると、第二の問題として、中国の4大国有銀行、すなわち、中国銀行、中国工商銀行、中国建設銀行、中国農業銀行の抱える回収不能の不良債権は、3月末時点で、2兆3500億元に達している。

 伍凡:第三の問題は、地方各省市の銀行は150ありますが、この150の地方銀行の今年3月末時点に回収不能の不良債権は、1兆5470億元に達しています。

 これは銀行についての話ですが、中国には、もう一種類の銀行、すなわち3つの政策銀行があります。国家開発銀行、農業発展銀行、輸出入銀行です。これは、政策として、特定の事業、企業に資金を貸し付ける銀行です。ここには、現在のところ、670億元の不良債権があります。これが第四の問題です。

 第五の債務とは何でしょうか?それは、国債です。朱鎔基の時代から、彼が引退するまでの約十年間に発行された国債、公債は、2兆1000億元です。現在、温家宝の就任後はこれらを発行していません。発行しても誰も買わないので、発行しなくなったのです。これは、内的債務です。このほかにも中国は対外債務を抱えており、海外から借りている長期、短期の外債は、2兆2480億元です。

 草庵居士は、こうした問題が発生する原因について分析している。中央政府には、調整をする術がないが、これは、中国の体制と関係がある。すなわち、中国政府の地方官員が出世をするため、自己の政治的実績をアピールするため、民衆をだまし、手を尽くしてビルの建設、道路の修理に励んでいるという。

 草庵居士:最も簡単な例を挙げましょう。中国は現在、都市の交通、自動車工業を発展させようとしています。なぜなら中国は人口が多く、米国と同様に、一つの家が2,3台の車を持つことはできません。中国都市の公共交通は、米国のニューヨークが都市の公共道路交通を主としているのと同様、解決が求められる当面の急務なのです。

 これは、集中的な大都市の必然的な趨勢です。しかし、中国大陸では、誰もこれをしようとしません。なぜでしょうか?公共交通の発展に際して都市自身には公共バスや地下鉄があることから、重ねて整備をしようとした場合、政治実績が目立たなくなり、単に民衆が恩恵を受けるだけで、目に見えるものが手に入らなくなるからです。

 しかし、自動車工場を建設して自動車を販売するとき、道路の修理や住宅の建設を行うとき、こうした都市は日進月歩であるとか、またビルが建ったとか、民衆が自動車をどれだけ買ったか、などと、彼らの政治的実績、地区の富裕度をアピールできるのです。だから、これは中国の政治体制全体の問題なのであり、経済主導で都市の建設が進んだわけではなく、実際のところは、政治体制、官僚体制が主導した経済であって、こうしたあり方は、経済規律によってもたらされた成果では決してありません。

 この時、中国の経済危機は非常に恐ろしいものとなります。これが一旦出現すれば、全体として歪んだ経済を、正常な状態に回復させる過程において、必然的に政治上の変化が伴うことになります。こうした政治上の変動は、動乱をもたらしますが、これは非常に、非常に恐ろしい状況です。

 温家宝は、金融環境について討論した国務会議において次のように述べている:中央のマクロ調整政策は、無形の挑戦、抵抗、都合のよいところのつまみ食いで、予想したほどの効果を挙げていない。一部の地区、系統にあっては、抵抗が続いており、これが、法律、法規の実施に際しての人為的な抵抗、妨害という形に現れている。私が相当に懸念しているのは金融の状況であり、これが、経済発展、社会の安定、政局の安否の鍵を握っている。これが一旦爆発し、崩壊すれば、収拾が困難な、全面的な災難となり、その結果は、誰にも負い切れるものではない。

 
(次回に続く)


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