【中国のことわざ】大義滅親

【大紀元日本9月1日】【大義滅親 dà yì miè qīn 】大義親を滅す。国家、君主の正義のためには、人として最も深いつながりの親・兄弟などの肉親さえも顧みない。「大義」は、人として行うべき重大な道義。昔それは、まず個を捨てて、国家や君主に尽くすことだった。

紀元前719年、元衛国君主・荘公の庶出である公子・州吁(しゅうく)が、大夫・石碏(せきじゃく)の子・石厚と共謀して、当時荘公の後を受けて衛国の君主となっていた腹違いの兄・桓公を殺して、王位を奪い取った。しかし州吁は、自分の王位が長続きするだろうかといつもびくびくしていた。そこで、石厚が父の石碏に教えを請うと、「陳の国へ助けを求めに行け」と言われた。

石厚が州吁とともに陳の国へ向かうと同時に、石碏は、使いを陳の国に派遣して、陳王に次のように伝えた。「私の国は、とても小さく、力が衰えているし、私も老いています。私の国の君主であった桓公を殺した2人の者があなたの国に向かっております。その者たちを処刑するようにお願いいたします」。

陳王はこの依頼に従い、2人を殺したわけであるが、石碏はわが子石厚を殺したことになる。当時、人々は「大義親を滅する」とはまさにこのことをいうのだと称賛した。

現代の中国では、①農村戸籍者への差別政策、②企業における安全対策不備の黙認、③医療制度改悪、④公害問題の放置など様々な問題がおきている。この原因をたどれば、中国共産党が元凶になっていることが容易に分かる。農村戸籍者への差別政策で、低廉な労働力を確保し、貧富の格差を維持する効果をもたらすものである。企業における安全対策不備の黙認は、共産党幹部と企業の癒着等による汚職が原因といえる。医療制度改悪は、「人材使い捨て政策」の一環である。ちなみに、共産党幹部は、自らの権力で必要な医療を受けることができる。公害問題の放置も、共産党幹部の汚職が原因である。彼らは公害の事実を知っており、安全な場所へ移動することにより、自らの身を守っている。

これらのことから分かるように、共産党は、自分の利益を最優先していて、そのためには他人の不利益をも顧みないという姿勢をとっている。つまり、正義のためでもなんでもなく、すべてが、ただ自分のためなのである。

こういう時代には、「大義滅親」ということわざを胸にとどめておく必要があるのではないか。

出典:『春秋左伝―隠公四年』

(編集・縁修)