【紀元曙光】2020年1月12日

大相撲の世界でも、外国出身力士の存在は当たり前となった。相撲を、もちろん日本人だけの競技とする必要はない。その実質において、時代を越えて伝承すべきものと、時代とともに変えるべきものを見極めていけばよいだろう。
▼とは言え、相撲部屋の親方は、体格が大きく、力士として有望な少年をスカウトするのに頭を悩ませているという。外国出身力士が、これほどまで増えた背景には、日本人の入門者が激減したという切実な現状がある。
▼昔のように、中学を卒業した子供が、家族のためにすぐに働くことは少なくなった。日本が、良くも、そうでなくも、貧しい時代ではなくなったからだろう。結構なことだが、一方で、子供が弱くなった、ハングリー精神がなくなったとも言われる。
▼まして少子高齢化ともなれば、それに輪をかけて早くから相撲部屋に入門する子供は減る。親は、よほどの覚悟がない限り、わが子を厳しい世界に入れることに、ためらいを覚えるのではないか。
▼昭和42年(1967)に高見山大五郎という、米国ハワイ出身で、史上初めて外国出身で外国籍の関取が誕生した。相撲も強かった(優勝1回)が、それ以上に、人柄の良さゆえの圧倒的な人気があった。
▼あれから半世紀。モンゴル出身で現在は日本国籍をもつ横綱・白鵬が、先場所までで優勝43回という驚異的な戦績を上げている。白鵬ばかりでなく、全ての力士が、伝統文化の継承者として、品格ある相撲を見せてくれるよう期待したい。さらには高見山さんのように、多くの日本人から愛されるお相撲さんであってほしいと願う。