米政府の中国批判収まらず、医薬品供給巡り報復懸念する声も

[ワシントン 25日 ロイター] – トランプ米大統領と一部高官は、新型コロナウイルス感染拡大への対応を巡り、中国を繰り返し非難する一方、政権内や専門家からは中国の助けが必要な時期に敵対すべきではないと懸念する声も上がる。

新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と呼び続けたトランプ氏は今週に入って呼び方を変え、態度を軟化させたが、ポンペオ米国務長官は25日、「武漢ウイルス」との呼称を使い、中国人が「意図的に偽情報を流している」と強い言葉で非難した。

両国の対立では、再選を目指すトランプ大統領が公約に掲げる米中通商合意もリスクにさらされている。

これまで、米中の対立は言葉の応酬にとどまっていたが、実際に行動に移る可能性が浮上しつつある。

ナバロ米大統領補佐官(通商製造政策局長)は中国製の医薬品や医療機器への米国の依存度を減らすことを目的に新たな「バイ・アメリカ」大統領令を策定中だ。

一方、中国はこの動きに非現実的で賢明ではないと反論。

中国が米国に報復する場合、通商合意の履行を遅らせるだけではなく、米国への主要な医療品サプライヤーとしての地位を利用することも可能だ。

中国国営の新華社は、世界は中国を非難するどころか中国に感謝すべきだとする記事を掲載。記事は、中国政府が医薬品の輸出を禁じれば、「米国は新型コロナ感染の地獄と化す」と警告した。

米政府高官が匿名を条件に語ったところでは、トランプ政権内では、ムニューシン財務長官を中心とするグループがナバロ氏の動きに反対している。新型コロナとの戦いと世界経済の下支えで中国の支援が必要な時に同国と敵対すべきではないとの考えからだという。

ホワイトハウスからコメントは得られていない。

戦略国際問題研究所(CSIS)のシニアフェロー、マシュー・グッドマン氏は「平時なら、米国が人工呼吸器やマスクなどの医療品を自国で生産する能力を備えることに同意するが、いまはそのような政策を検討する時ではない」と述べた。

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