ホルムズ海峡が実際に封鎖されたのかどうかをめぐり、国際社会の注目が集まっている。航行量は大幅に減少し、船舶が海峡の外側で待機をする一方、一部の船団は通航を再開しており、情勢は「完全封鎖ではないが、自由に通れる状況でもない」という異例の状態となっている。
アメリカとイランの停戦交渉は続いているものの、イスラエルによるレバノンでの軍事行動が大きな障害となり、事態をさらに複雑にしている。
最新の海運状況を見ると、ホルムズ海峡は全面封鎖には至っていないものの、事実上、通行制限に近い状態にある。つまり、航路そのものは維持されているが、通航能力は大きく低下している。
背景にあるのは、イランによる通航ルールの変更だ。3月中旬以降、イランは「安全回廊」を設け、船舶に対し、自国領海内に入ったうえで審査を受けるよう求めているとされる。その結果、従来の自由な通航の形は崩れ、「条件付き通航」へと変わった。
この影響で、航行量は平均して通常の約1割にまで落ち込み、船舶の迂回も始まっている。
軍事ブロガーの周子定氏は、「ホルムズ海峡はいまも非常に奇妙な通航状態にある。一部の船はイラン側を通ってララク島に向かい、そこから海峡を抜けている。また、オマーン沿岸に沿って航行する船もあるが、通行量は多くない。イラン側を通る船舶は、明らかにイランと何らかの取り決めをしている」と指摘した。
一方、海峡の入口では、すでに船団の滞留も発生している。複数の中国のタンカーや貨物船がペルシャ湾側で待機し、一部は原油を満載した状態だという。
こうした状況は、海峡が完全に閉じられたのではなく、通航能力が大きく低下し、すでに世界のエネルギー供給に圧力を及ぼし始めていることを示している。
航行制限が強まるのと同時に、地域の軍事、政治の両面で緊張も高まっている。
トランプ米大統領は、2週間の停戦期間中も米軍は中東への展開を続け、真の合意が成立し履行されるまで態勢を維持すると表明している。また、協議が決裂すれば、米側はさらに大規模な軍事行動に踏み切る用意があると警告している。
しかし、協議はすでに実質的な行き詰まりを見せている。最大の焦点は、レバノンでの軍事行動だ。イスラエルは最近、レバノンでヒズボラ関連目標に対する大規模な空爆を実施した。一方、イランは、同盟勢力が攻撃を受けている状況で交渉を進めるのは受け入れられないとして強く反発している。
これに対し、アメリカ側は、停戦合意はもともとレバノンを含んでいないと強調している。これは、「どの戦場を交渉の対象に含めるのか」をめぐって、各当事者の認識に大きなずれがあることを示している。
こうした背景の下、情勢は次第に三つの局面が交錯する構図を強めている。
海運の面では、通航は制限されているが、途絶えてはいない。
軍事の面では、衝突は続き、むしろ激化する可能性もある。
協議の面では、協議の形は残っているものの、進展は停滞している。
この三つは相互に連動しながらも、同時には沈静化しておらず、全体としてリスクが高まっている。
総じてみれば、ホルムズ海峡は完全に閉鎖されたわけではないが、イランが通航の速度や規模を左右できる戦略上の要衝へと変わりつつある。そして、協議の停滞によって、情勢はなお軍事衝突と交渉の間で揺れ動いている。
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