米の黒人暴行死への抗議、世界的に拡大 欧州・アフリカで

[アムステルダム/マドリード 2日 ロイター] – 米中西部ミネソタ州で発生した白人警官の暴行による黒人男性死亡事件を受けた抗議活動が全米に広がる中、欧州やアフリカなど世界各地でも「黒人の命は大切だ(Black Lives Matter)」のスローガンを掲げ、人種差別に抗議する集会が開かれた。

こうした平和的な集会では、社会、経済的な格差のほか、過去の欧州列強による植民地化時代からまとわりつく人種主義などがクローズアップされ、オランダの首都アムステルダムで開かれた集会ではブラック・ヘリテージ・アムステルダム・ツアーズの創業者、ジェニファー・トッシュさんが「オランダには人種問題はないと考える人はここにいるべきではない」と述べた。

英国の首都ロンドンでは「英国も無実ではない」とのプラカードを掲げた人が行進。ドイツの首都ベルリンでは米国大使館の前で約2000人が抗議活動を行った。

一連の抗議活動の発端になったのは、米中西部ミネソタ州のミネアポリス近郊で5月25日、白人警官が黒人のジョージ・フロイドさんを逮捕する際に膝で首を地面に押し付け、フロイドさんがその後死亡した事件。ベルリンでは1日、プロサッカー選手2人が「ジョージ・フロイドさんに正義を」と書かれたTシャツを着て抗議活動に参加した。

フランスの首都パリでは1日、米国大使館の前で小規模な抗議活動が行われた。活動参加者は、新型コロナウイルス感染拡大抑制策が実施される中、アフリカ諸国出身の住民が多い低所得地域で警察による横暴な事件が散見されたと指摘している。仏警察当局は2日、2016年に警察に逮捕され、拘束中に死亡した黒人男性を巡る追悼デモを禁止すると発表。米国の抗議活動の飛び火を警戒した可能性がある。

欧州外では、トルコのイスタンブールでフロイドさんの事件を巡る抗議活動開始直後に約50人の活動参加者が警官隊と衝突。少なくとも5人が身柄を拘束された。

ケニアの首都ナイロビでは、米国大使館前で「黒人の命は大切だ」「超法規的な殺人はやめろ」などと書かれたプラカードを掲げて抗議活動を実施。抗議活動を取りまとめたナフラ・ワフラさんは、黒人に対する暴力は国際的なものとし、「警察による暴力はケニアでは社会階級に起因しているが、米国では人種と階級の双方に起因している」と述べた。

こうした抗議活動は今後、ガンビアのほか、欧州ではスペインやポルトガルなどでも計画されている。

一方、スペインの極右政党ボックス(Vox)や、反イスラムを掲げるオランダの自由党などは、フロイドさん死亡事件に抗議する人々を「テロリスト」と呼び、トランプ米大統領が示している姿勢に支持を表明。分断が広がっている。

関連記事
19日午前7時頃、パキスタン南部カラチで、駐在員5人を乗せた日系企業の車列が武装集団に襲撃され、1人が負傷した。 警察は自爆テロと断定した。 武装集団は3人で、うち2人は警察に射殺され、1人は逃走した。
イスラエルのミサイルがイランの拠点を直撃したと、米ABCニュースが18日遅く、米政府当局者の話として伝えた。
パレスチナの国連への加盟国をめぐる票決を行う予定だが、安保理常任理事国である米国が拒否権を行使すると予想されだ。
G7の首脳は14日(日本時間)、声明を発表し、イランが前日に行ったイスラエルへの空爆を非難した。
4月10日、イスラエルによるガザ地区への空爆で、ハマス指導者イスマイル・ハニェの息子3人が死亡した。イスラエル軍はこの攻撃を確認し、ハニエ氏の3人の息子は過激派組織ハマスのスパイであると主張した。