移民8000人が不法越境、モロッコからスペイン領セウタへ

[セウタ(スペイン) 18日 ロイター] – アフリカ大陸北端にあるスペイン領セウタに17日から18日にかけて、隣接するモロッコから移民約8000人が一斉に不法入国した。スペインのサンチェス首相は欧州にとり深刻な危機だと指摘し、モロッコとの外交的緊張が高まる中、速やかに対応すると表明した。

越境した人の多くはサハラ砂漠以南の出身者で、未成年者も1500人ほどいる。泳いだりフェンスを乗り越えたりしてセウタに不法入国した。スペインはモロッコとの国境警備を強化するため軍を配備。既に約4000人がモロッコに送り返されたという。

セウタの地域指導者は、不法入国者急増へのモロッコ当局の対応が消極的だと批判。専門家からは、モロッコがスペイン政府に圧力をかけるため、不法入国を容認したとの指摘がある。モロッコが実効支配する西サハラの独立運動指導者ブラヒム・ガリ氏を、スペインが国内の病院に入院させる決定をしたため、との見方だ。スペイン政府はこうした見方を否定している。

モロッコのテレビは、18日午後に当局がセウタへの不法入国を防ぐためにフェンスを設置している映像を伝えた。ただ、これより先にスペイン側から撮影された映像では、モロッコの兵士や警官が何十人もの移民を何のチェックもせずに緩衝地帯のゲートに通している様子が映されていた。

サンチェス首相は「移民の突然の急増はスペインと欧州にとり深刻な危機だ」と指摘。欧州委員会のシナス副委員長は、セウタの国境は欧州の国境だとツイッターに投稿し「スペインとの全面的な連帯」を表明した。

モロッコは、スペインが先月、ガリ氏を入院させたことを批判していた。スペイン政府は、人道上の観点から対応したに過ぎないと主張している。

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