7月21日、米国とドイツは、ロシアとドイツを結ぶガスパイプライン「ノルドストリーム2」を巡る合意を発表した。ロシアがウクライナや中東欧諸国に打撃を与えるためにエネルギーを武器として利用した場合、ドイツは独自の対応を行うほか、欧州連合(EU)に対し制裁導入を働き掛ける。写真は2020年2月、ロシアのチェリャビンスクのパイプライン工場で(2021年 ロイター/Maxim Shemetov)

米独、ノルドストリーム2問題で合意 ロシア牽制

[ワシントン 21日 ロイター] – 米国とドイツは21日、ロシアとドイツを結ぶガスパイプライン「ノルドストリーム2」を巡る合意を発表した。ロシアがウクライナや中東欧諸国に打撃を与えるためにエネルギーを武器として利用した場合、ドイツは独自の対応を行うほか、欧州連合(EU)に対し制裁導入を働き掛ける。

総工費110億ドルの同パイプラインは98%がすでに完成。ロシア北極圏からバルト海を通してドイツに天然ガスを供給する。米国はこの計画に反対していたが、バイデン政権は制裁措置で同パイプライン計画を完全に頓挫させない道を選んだ。

米独は共同声明で「ロシアの侵害と悪意のある活動の責任を追及する決意を共有している」と表明。「この合意は、ロシアが攻撃的な政治目標を達成するために、ノルドストリーム2を含むいかなるパイプラインも乱用しないようにすることを目的としている」とした。

共同声明によると、ロシアがエネルギーを「武器」として利用したり、ウクライナに対する一段の侵害を行ったりすれば、ロシアの欧州へのエネルギー輸出能力を制限するために、ドイツは独自の措置を取るほか、EUに対し制裁導入を含む対応を呼び掛ける。

独政府によると、米独合意発表の数時間前にドイツのメルケル首相はロシアのプーチン大統領と電話会談を行い、ノルドストリーム2について協議した。

ドイツはウクライナのエネルギーの独立性を高めるための総額10億ドルの基金に、少なくとも1億7500万ドルを拠出する。

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