神医扁鵲(1)

仙人は「扁鵲」を弟子とし 彼の天目を開いた

扁鵲(へんじゃく)は、2500年以上前に、孔子(こうし)と同時代を生きていました。中国歴史上において、公式に記録され、認められた最初の古代療法士です。 壁や人体を見通すことができる能力を持ち、治癒力があることが史料でも証明されています。 彼の伝記は、前漢の有名な歴史家である司馬遷(しばせん)のものとされています。彼の著書 『史記 辺鵲の伝説』では、扁鵲が仙人から治癒の術を授かったという伝説的な体験を、生々しく詳細に描いたものです。

医の神技を伝えるため 神仙は扁鵲を選んだ

大史料館の記録によると、扁鵲は若い頃、道端の旅館の支配人をしていたことがありました。扁鵲は、誠意と熱意を持って人に接し、真面目で丁寧な応対をしていました。ある日、長桑君(ちょうそうくん)という客が旅館に泊まりに来ました。扁鵲は彼を一目見て、この男性が白い眉毛を持ち、美しい顔立ちをしていて、優雅で上品な佇まいであることに気づきました。そのため、大きな敬意を払い、礼儀正しく接し、丁寧に仕えました。

不思議なことに、長桑君はそれからよくこの場所を訪れ、10年以上も滞在したといいます。 彼が扁鵲を弟子として選んだのは、彼の根基を見て、「扁鵲は非常に特別な人物であった」と判明したからです。神癒の技術を教えるためには、扁鵲と長い時間を過ごし、彼を注意深く観察して、彼の徳が整っていることを証明しなければならなかったのです。

10年以上も扁鵲を観察してきた長桑君は、ついに、自分の治療技術を扁鵲に伝授することを決意しました。その第1歩として、扁鵲の天眼(第3の目)を開くことにしました。まず、扁鵲の天眼を開き、自分の目で体内の内臓を見たり、病気を直接スキャンする能力を身につけさせました。しかし、どうやってこの能力が開花されたのでしょうか。

秘薬が扁鵲を開眼させ、扁鵲は神医となる

ある日、長桑君は扁鵲を呼び、話をしました。「私は年老いた、あなたに伝えたい秘密の処方があるが、それを誰にも漏らしてはいけない」と言ったのです。 扁鵲は「謹んでお約束いたします」と言いました。そして、長桑君は腕にあった薬を取り出して扁鵲に渡し、「この薬を飲んで、上の池の水、つまり地面に落ちていない雨水のようなものと混ぜてください」と言いました。 同時に、長桑君は自分が集めていた多くの医学書の内容を扁鵲に伝えました。その後、奇跡が起こったかのように、彼は説明し終わった後、魔法のように消えてしまいました。

「突然姿を消したとき、彼は人間ではなかった」。 これは『史記』からの引用で、「人の目前で突然消える人物は、常人ではなく、神である」という意味です。その時初めて、扁鵲は自分が天上の不死人であることを知ったのです。
案の定、30日間薬を飲み続けると、扁鵲は「壁の向こう側の人たちが見えた」といいます。このビジョンでは、5つの脾臓の症状がすべて見えたので、それを自分の脈の名前にしたのです。

つまり、扁鵲は壁の向こう側にいる人を見ることができ、物を透視することができる特殊な能力を持っていました。この能力を使って患者を見ると、人体の5つの内臓を透視することができ、どこに病気があるかを知ることができました。 それ以来、扁鵲は「脈診」という名で、斉や趙の国で医学を実践するようになりました。

このことから、扁鵲の奇跡的な力の鍵は、人の目で見通す能力であることがわかります。世の中の謎を解くことができなかったため、彼の医療技術は、「脈診」という名前でしか知られていませんでした。

扁鵲の医療技術は、神々から受け継がれてきたものであり、昔は師匠が弟子を選び、誰にでも伝えられるものではなかったことがわかります。名声や富を求めない、徳の高い人だけが授かるのです。

(翻訳・井田)