日中に元気がでなかったり、疲れを感じたりするのは、コルチゾールが関係しています(Ushico / PIXTA)

いくら寝てもズーンと残る疲労感 慢性疲労症候群に対抗する5つの方法(2)

慢性疲労を改善する5つの方法

医学的な診断では、疲労の症状が6カ月以上続くと慢性疲労症候群と認識されます。しかし、張世衡氏は、丸一日元気がないときは、症状が6カ月続くのを待たずに治療を受けることを薦めています。

慢性疲労症候群と診断された場合、現在は治療法がないため、症状緩和を中心に行われます。例えば、落ち込みやすい人には低用量の抗うつ剤を、立ちくらみやめまいがしやすい若い人には血圧や心拍数を調整する薬を、筋肉痛になりやすい人には痛みを和らげる薬を処方するなどです。

薬物療法以外にも、慢性疲労を改善する方法はいくつもあります。

 

1.体内のホルモンを調整するビタミンB群などの栄養素の補給

日中に元気がでなかったり、疲れを感じたりするのは、コルチゾールが関係しています。通常であれば、コルチゾールの分泌量は日中が多く、夜間や特に朝起きたばかりは少なく、夜寝る前も同様に少なくなっています。

しかし、慢性疲労の人は違います。張世衡氏によると、このような人たちのコルチゾールの分泌量は、午前7時から8時の間に非常に少なくなるそうです。

コルチゾールを直接調整できる薬はありませんが、ビタミンBのサプリメントを飲むことで改善できます。

他にも、脳は酸素が不足すると疲労を感じることがあります。ビタミンB12は、B複合体の一部で、体内の赤血球の生成に関係します。そして、赤血球は酸素を体内に運ぶ働きがあるので、ビタミンB12を補うことで、酸素の運搬をスムーズにできます。

また、ビタミンB12は、もうひとつのホルモンであるメラトニンの生成を助けます。 メラトニンは眠りを司る物質で、夜間に多く分泌され、深い眠りと体力の回復を促します。体内のトリプトファンでメラトニンが合成されますが、この過程を助けるためにビタミンB12が必要です。

一般的には、ビタミンB群は日中に摂取すると体調が良くなると言われますが、朝に摂取すると眠くなる人がいたり、夜に摂取すると眠れるようになる人もいるようです。そのため、自分に合わせて時間帯を調整しましょう。

その他、補うべき栄養素は以下の通りです。

良質なタンパク質

トリプトファンは、タンパク質を含む食品から補給することができます。

ミネラル

銅、鉄、亜鉛、カルシウム、マグネシウムなど。鉄は赤血球を合成し、亜鉛は体内の多くの化学反応に関与し、銅は赤血球や神経系に関係し、カルシウムとマグネシウムは筋肉を緩ませます。

魚油

慢性的な炎症も疲労の原因になりますが、魚油の主成分であるオメガ3は抗炎症作用があります。

ビタミンB群、多くのミネラル、魚油を補い、疲労の改善をサポートします(Shutterstock)

 

(つづく)

(翻訳・香原 咲)

 

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