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モンゴル草原の女王:アラカイ・ベキ(中)

父親の名残惜しい目線の中、アラカイ・ベキは躊躇なく頷き、この婚姻を受け入れました。これはモンゴル部族の存亡にかかわる政略結婚であり、オングト部の支持を得てこそ、草原を統一することができるのです。

アラカイは一般の遊牧民の娘ではありません。公主であり、チンギス・カンの娘である彼女は生まれた瞬間から、重い使命を背負っているのです。

アラカイの夫となる人選はオングト部の族長アラクシ・ディギト・クリの長男ブヤン・シバン(注1)、年齢も顔立ちも、アラカイにふさわしい少年です。これは父親として、娘にしてあげられる最高の選択でしょう。

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