米国防総省は27日に国家防衛戦略と核態勢見直しを発表した。写真は米国の爆撃機 (Photo credit should read JUNG YEON-JE/AFP via Getty Images)

米、国家防衛戦略公表 中国を最上位の脅威と位置づけ 「我々は激動の時代に生きている」

国防総省は27日、今後の安全保障政策の指針となる新たな「国家防衛戦略(NDS)」と「核態勢見直し(NPR)」を公表した。中華人民共和国(PRC)を最上位の脅威と位置づけ、「必要に応じて紛争に勝利する準備を行う」ことを盛り込んだ。同盟国に対する力強い防衛意志の表れであるとして、林外相は「強く支持する」との談話を発表した。

防衛戦略では、インド太平洋地域と国際社会で力による拡張を続ける中国を「最重要な戦略的競争相手」とし、最も重大な脅威であると位置づけた。ロシアについては中国に次ぐ脅威であるとした。

核態勢見直しでは、中国とロシアの核開発は米国とその同盟国に核の脅威をもたらしていると記した。バイデン大統領が掲げた核兵器の先制不使用などについては、「米国とその同盟国を受け入れ難い危険に晒す」として断念した。

北朝鮮に対しては、米国とその同盟国に対する核攻撃を行えば「政権の終焉につながるだろう」と強く牽制した。

同時に公表されたミサイル防衛見直しでは、中国が過去20年間で弾道ミサイル・極超音速ミサイルの技術を劇的に発展させていると警鐘を鳴らした。そして中国は西太平洋に展開する米軍に対抗して宇宙・サイバーシステムや指揮命令系統の能力を大幅に向上したと指摘した。

米オースティン国防長官は公表に際し、「我々は激動の時代に生きている」「今後の10年間で地政学や経済が大きく変化する」と指摘した。

林外相は談話の中で、核・ミサイル戦力等を含む中国の軍事力の強化・近代化を取り上げ、安全保障環境が一層厳しさを増していると指摘。米国の核態勢見直しは「我が国を含む同盟国に対する、核抑止を含めた、力強く信頼性のある拡大抑止へのコミットメント」を表明したものとして、強く支持した。

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