幹細胞は「不老不死を実現させる」? 幹細胞を増やす食品とは(2)

(続き)

肝臓のほか、心臓も幹細胞で再生されます。しかし再生速度は年齢に影響されます。20歳の時には心臓の細胞の約1%が毎年新しく生まれ変わりますが、この速度は年齢とともに遅くなり、75歳では0.3%しか生まれ変わらないといいます。

骨髄から幹細胞を取り出し続けるので、いずれは枯渇してしまうのではないかと思う人もいるかもしれませんが、「幹細胞は自己再生が可能で、骨髄に蓄えたものを補充することができる」とウィリアム・リー氏は言います。

高血糖が幹細胞にダメージを与える!
幹細胞の回復力を低下させる3つの条件

健康な人の幹細胞は自己複製と貯蔵量の補充が可能ですが、再生と修復の能力が損なわれる3つの条件があり、それが生活の質に直接影響すると同氏は述べています。

1.喫煙と大気汚染物質の吸引

喫煙者がタバコの煙を吸い込むと、骨髄に蓄えられている幹細胞を継続的に枯渇させます。体内の酸素が不足し、血液中に幹細胞が収集されるのです。喫煙者の体内に残っている幹細胞は、自己複製能力が75%、再生能力は38%低下していることが研究で明らかにされています。また同氏は、能動的な喫煙に加えて、受動的な副流煙の吸引や、ひどく汚染された空気の中での生活も、同様に幹細胞にダメージを与えると付け加えました。

2.大量のアルコール摂取

大量の飲酒は幹細胞を死滅させます。喫煙と同様に、飲酒は幹細胞を骨髄から循環系に常に動員することになり、幹細胞にダメージを与え、再生能力を低下させると同氏は述べています。また、アルコールの摂取は脳の幹細胞の活動を低下させ、特に短期記憶と長期記憶を司る海馬に影響を与えます。

3.高血中脂質・高血糖値

幹細胞は、高血中脂質や高血糖によってダメージを受けます。同氏の著書によると、血液中の悪玉コレステロール(LDL)は幹細胞を傷つけますが、血液中の善玉コレステロール(HDL)は、血管の健康を維持し血管の内層を修復する血液中の内皮前駆細胞(幹細胞の一種)の死を遅らせるといいます。

糖尿病の人は、幹細胞が通常より47%少なく、残った幹細胞も正常に働かない可能性があります。これは、高血糖が幹細胞の複製や移動、生存因子の分泌に影響を与えるからです。

ウィリアム・リー氏はさらに、血液中の塩分濃度が高いことやストレスレベルが高いことも、幹細胞にダメージを与える可能性があることにも言及しました。

体内の幹細胞を増やすために適切な食品を摂る

体内の幹細胞の活動を守るにはどうしたらいいのでしょうか。同氏は、食生活の観点からアドバイスをしています。以下の食品は、幹細胞の数を増加させることが研究で明らかにされています。

 

1.ダークチョコレート

ダークチョコレートには、生理活性物質であるフラバノールが含まれています。カリフォルニア大学の研究者たちは、冠動脈疾患を持つ患者を対照試験に参加させました。
一方のグループはフラバノールの少ないホットチョコレート(1食あたりわずか9mg)を1日2回飲み、もう一方はフラバノールの多いホットチョコレート(1食あたり375mg)を1日2回、30日間飲み続けてもらいました。
その結果は驚くべきもので、高フラバノールホットチョコレートを飲んだグループは、他のグループに比べて血液中の幹細胞の数が2倍多く、血流も2倍改善されたのです。

 

2.紅茶

イタリアの研究者たちは、薬物治療を受けていない軽度から中等度の高血圧患者を2つのグループに分け、1週間後に両群の血液を採取したところ、紅茶を飲んだ人の血液中の内皮前駆細胞数は36%から56%に増加し、血管拡張能が向上していることがわかりました。

紅茶は幹細胞を増やす働きがあります(健康1+1/大紀元)

 

3. オリーブオイル

幹細胞の数を増やすには、バージンオリーブオイルを豊富に含む地中海食が効果的です。『アメリカ臨床栄養学雑誌(The American Journal of Clinical Nutrition)』に掲載された人体研究によると、バージンオリーブオイルを豊富に含む4週間の地中海食は、飽和脂肪の多い食事や低脂肪・高炭水化物食に比べ、血液中の内皮前駆細胞の数を2倍に増やしたことが明らかになりました。 

地中海食は幹細胞を倍増させる(健康1+1/大紀元)

(完)

李路明