岸田首相は防衛大学校の卒業式で訓示を行い、防衛力を緊急的に強化していくと述べた(首相官邸広報室提供)

「外交の裏付け」防衛力強化を急ぐ 岸田首相、防衛大で訓示

岸田首相は26日、防衛大学校の卒業式で訓示を行い、「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」と強い危機感を示した。国民の命と暮らしを守るためには良好な外交環境を構築するとともに、その裏付けとなる防衛力を緊急的に強化しなければならないと述べた。

防衛大学校は幹部自衛官を養成する教育・訓練施設であり、卒業式に首相と防衛相が出席することが慣例となっている。

岸田首相は中国や北朝鮮を念頭に、周辺国が核ミサイル能力の強化や急激な軍備の増強を行っていると強調、「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」と強い危機感を示した。

日本は今年のG7議長国と国連安保理の非常任理事国を務める。岸田首相は、米国や欧州の同盟国との連携をさらに強化し、共同訓練などを通して協力関係を一層強化していく考えを示した。

岸田首相は「国民の命と暮らしを守り抜く上で、まず優先されるべきは我が国にとって望ましい国際環境を作るための外交努力」であるとし、「外交には裏付けとなる防衛力が必要」だと強調した。

さらに、「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく」ためにも、防衛三文書に基づいて今後の5年間で「防衛力を緊急的に強化」していくことが不可欠だと力説。反撃能力の保有や南西地域の防衛体制の強化、継戦能力の強化は「待ったなしの状況だ」と語った。

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