LGBT関連法案をめぐる自民党内の会合では、反対意見や慎重意見が続出した。資料写真(Wenliang Wang/大紀元)

「騒げば動く」国と思われてしまう…LGBT法案、内政干渉に懸念も=自民

「日本は騒げば動く、と思われてしまうのではないか」。大型連休明けの初日、LGBT法案を検討するために開かれた自民党の会合では、制定に対する慎重・反対意見が相次いだ。他国大使の内政干渉が意識されるも「日米の亀裂と見えれば、中露に付け入る口実を与えかねない」として強調は控えたいとの声も上がった。

今年2月の総理秘書官の問題発言以降、岸田首相(自民党総裁)はLGBT法案に関する党内議論の進展を指示。19日から開催されるG7サミットの前に超党派で成立を目指す動きがある。「性自認」と「差別は許されない」の文言修正を経て自民党案は調整が進んでいる。

「サミットまでに成立を、ということを立法事実にするのは惨めすぎるからやめてほしい」。8日に自民党が行った「性的マイノリティに関する特命委員会」と内閣第1部会の合同会議では、議員からの苦言が相次いだ。山田宏参院議員は「そもそも今のわが国にどんな問題が存在し、それがこの法律でどう解決されるのかという立法事実が不明」であるとして、法案そのものの意義を問うた。

有村治子参院議員は、他国の大使がLGBT法案に前向きな姿勢を示していることを念頭に、「内政干渉には、毅然とした態度で臨み、反論する事が、国家国民に仕える自民党の矜持」だと強調。その上で「『日米の亀裂』と見える事は、中露に付け入る口実を与えるので、これも戒めるべき」とし、LGBT問題に対する温度差で日米関係を悪化させてはならないと指摘した。

高鳥修一衆院議員によると、他国の大使による内政干渉に対する反対意見は複数上がったという。

会合では修正案も提示された。野党が推進する「性自認」を「性同一性」に、「差別は許されない」を「不当な差別はあってはならない」と修正するものだった。

これに対し山田宏氏は「『性自認』が『性同一性』と変更されても、定義が曖昧(英語ではどちらもgender identity)」と述べ、「性自認」の文言がなくなったことを評価する意見に対しては、「変更しても、意味は変わらない。『性同一性障害』という医学的な意味で使うのなら、そのように限定すべき」だと指摘した。

女性議員からは、マジョリティである「生物学的な女性」の権利を侵害してはならないとする意見が出た。「女湯、女子トイレ等女性専用スペースは身体的女性用として確保し、女性の安全性を幾許でも悪化させ得るような芽は全て阻止すべき」。片山さつき・元内閣府特命担当大臣はこう力説し、LGBT法案が可決されれば女性の安全が脅かされる恐れがあると懸念を示した。

LGBT法案に対する懸念が多数提起されるなか、G7前の成立は困難との見方も出ている。長尾敬前衆議院議員は自身の番組で、「G7は19日から始まる。普通に考えて、それまでに法律を成立させるだけの時間がもうない。そのため、G7前の成立は多分難しいのではないか」と述べた。

さらに、「性自認」の文言を削除した自民党修正案が提出された場合、一部野党の反発が予想されることから、法案成立まで漕ぎ着けない可能性があると示唆した。

同様の意見は推進派からも聞かれた。超党派の「LGBTに関する課題を考える議員連盟」で会長を務める岩屋毅元防衛相は8日に記者団に対し、「できれば全会一致で決めることが事柄の性質として大事」としつつ、「なかなかサミットまでというのは厳しい。日程的には厳しくなってきてるのかな」と語った。

司法の判断を参照すべきとの意見もあった。前出の高鳥氏は、経済産業省のトランスジェンダー職員のトイレ使用をめぐる裁判で最高裁が6月16日に弁論を開くことから、「最高裁の判断を見極めるべき」と主張した。

継続議論となり、明日10日にも再度合同会議を開く予定。世耕弘成参院幹事長は8日の会見で「党の議論を収斂する時期が近づいている」と語り、自民修正案が固まれば公明や野党に賛同を求める見通し。

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