中国の野菜売り場。イメージ画像。(余鋼/大紀元)

残留農薬を口実に11万元のペナルティ 「罰金の乱発」で増収ねらう地方政府の闇=中国 河南

6月末、河南省洛陽市で野菜売りをしていた地元農民の男性が「販売した野菜の残留農薬が基準を超過した」として、管理当局から11万元(約218万円)の罰金を科されたことがわかった。

この話題「野菜売りのおじいさん。得られる利益は21元だけど罰金は11万元」が、中国SNSウェイボー(微博)のホットリサーチ入りした。

中国誌「中国新聞週刊」の報道によると、「残留農薬の基準を超えた」と指摘されたショウガやほうれん草、ピーマンなどの野菜は、いずれもこの男性が自分で栽培したものではなく、大型の卸売市場で仕入れたものだったという。

これらの野菜を全て売っても、男性の手元にのこる利益はせいぜい21元(約400円)にしかならない。しかし科された罰金は、その5000倍以上の「11万元」だという。

この巨額の罰金支払いに応じなかった(応じられなかった)「野菜売り」に対し、管理当局は「罰金の強制執行」を裁判所に申請した。

しかし裁判所は「卸売市場から仕入れた野菜が食品安全基準を満たしていると信じるのは当然である」と判断し、また初めての違反であることも考慮したうえで、管理当局が科した罰金が過大であったとして、その「強制執行申請」を却下した。

その後、管理当局は再審申請を行ったが、裁判所によって再び却下されたという。

米政府系放送局のラジオ・フリー・アジア(RFA)は、オランダ在住の中国反体制活動家・林生亮氏の指摘を引用して、次のように報じた。

「(野菜の残留農薬を問題にするなら)末端の販売者に巨額の罰金を科すのではなく、その元である卸売市場や監督部門の責任を追及すべきだ。また、この一件からも、一部の地方政府には、やたらに罰金を科すことで増収をねらう良くない傾向があることが伺われる」

また、かつて中国の大学で法学部の准教授をしていた蔡釩氏は、「これほど不公正な処罰(罰金)の裏には、何らかの利権が絡んでいる可能性が高い」と指摘。

「この野菜売りの老人は、なにも極悪非道なことをしたわけではない。小さな商売を生業とする庶民に巨額の罰金を科したら、どうやって生きて行けば良いのか。その一家は一生、借金に追われることになる」

そう指摘した上で蔡釩氏は「罰金は、決して乱用すべきではない」と述べた。

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