2022年11月28日、北京市民が手に白い紙を掲げて、中共政府のゼロコロナ政策に抗議した。この抗議運動は「白紙運動」あるいは「白紙革命」と呼ばれている。 (Michael Zhang/AFP via Getty Images)

「白紙革命を、もう一度」 習政権への抗議よびかける招集文がネットで拡散中=中国 成都

国際大学スポーツ連盟(FISU)が主催する、学生を対象にした国際総合スポーツ競技大会「FISUワールドユニバーシティゲームズ」が今月28日から8月8日にかけて、中国の成都で開催される。

その開催を控えるなか、「もう一度、白紙革命(運動)を起こそう」と呼び掛ける招集文が華人圏のSNSで広く拡散されている。

フラッシュモブ形式の抗議活動

米国に拠点をおき、自由と民主への希求を掲げる中国語のネットメディア「光伝媒」の創始者である王安娜氏は11日、自身のツイッターに「習近平の政策や腐敗した独裁に抗議するため、成都で開催される大会初日の7月28日に、フラッシュモブ形式の抗議活動を行うことを呼びかける招集文」を転載し、各方面に発信した。

 

こうした動きに対しては、もちろん中国当局による鎮圧が予想される。そのためこの招集文は、デモ参加者の安全を確保するため「5つの注意事項」を挙げている。

その内容は「個人情報を一切公開しない」「相手が私服警官である可能性もあるため、ネット上で知り合った人と連絡を取りあわない」「活動参加前には、荷物検査を想定して携帯やパソコン内の敏感な内容を削除しておく」「白い紙は1枚だけではなく、大量に持参する」「白い紙について私服警官に尋問されたら、使い道があるなどと自分なりに理由をつくる」などである。

そのほか、デモ参加者は現場では写真撮影しない、写真撮影する場合は活動に参加しない(参加者と撮影者を必ず分ける)などの補足事項もある。

なお、この招集文は「今回の活動に主催者はいない」ことを強調している。

中共が最も恐れるのは「中共を恐れない人民」

歴史学者で時事評論家の章天亮氏は、自身のメディア番組「天亮時分」のなかで、次のように評した。

「まもなく成都で行われる抗議行動が白紙革命を再び引き起こすかどうか、現時点ではわからない。しかし、このような分散式、あるいはフラッシュモブ形式の抗議行動は、確かに効果的であり、成功する可能性はある」

章氏はまた「人々が街なかのあちこちに散らばって抗議活動を行うとき、安定維持にあたる当局の人員も分散を余儀なくされる。そうなると、警察の指揮系統などにも深刻な問題が生じるだろう」と分析する。

さらに章氏は、抗議活動において最も重要なのは「参加者が自身の恐怖心を取り除くことだ」と述べた。

参加者が自身の恐怖心を取り除くことは、同時に、他の人がもつ中国政府に対する恐怖心の除去にも役立つ。その時に、勇気をもって集まる市民が互いに連帯し、励まし合い、大きな民衆の力になる、と章天亮氏は指摘する。

つまり、中共が最も恐れるのは「中共を恐れない人民が出現すること」である。

架空の「階級の敵」をつくることで人民同士に無益な闘争をさせ、21世紀の今日まで延命してきた中国共産党にしてみれば、何も書いていない「白い紙」を手にして多くの市民が街頭に出てくる白紙革命は、今まで遭遇したこともないような「不気味な段階」に入ったことを自覚させたであろう。

昨年11月、まだゼロコロナ期間中であった成都では、ゼロコロナ政策に抗議するための大規模な「白紙運動」が行われていた。

その時、多くの市民は手に白い紙を掲げて街頭に立ち、「自由、民主、公民の権利を求める」「我に自由を与えよ。然らずんば死を (不自由,毋寧死 )」などと声を上げて叫んでいた。

「中共を恐れない人民の出現」という意味では、確かに「白紙運動(革命)」はその先駆けとなる画期的な現象であったと言ってよい。

それに続く新たな力が結集すれば、中国共産党という、腐朽し果てた大木を倒す作業は天が定めた時の流れに順じて整然と進む。

繰り返すが、すでに腐った大木である。一定の角度まで傾けば、自重で、音を立てて倒れることもあるだろう。

1989年12月15日から25日まで、わずか10日間のルーマニア革命は、独裁者チャウシェスクが裁判の10分後に処刑されて終わった。歴史は、ときにアクセルを踏み込んで一気に進むことがある。

 (昨年11月、成都で行われた「白紙運動」。)

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