貧血にはこのスープ!2つの食事療法で血液を補おう(2)

(続き)

この薬膳スープは貧血を治す効果があります

呉國斌氏は以前、ある30歳の女性患者を診察したことがあります。その患者は、長期的な軽い貧血であり、月経不順、めまい、動悸が起こり、ヘモグロビン含有量が9g/dL前後でした。彼女は葉酸やビタミンB12、鉄を服用する食事療法を試しましたが、ヘモグロビン含有量はいっこうに増えませんでした。

呉國斌氏は彼女に、牛の尻尾に一握りの黄耆(おうぎ、別名キバナオウギ、ナイモウオウギ)と当帰(とうき:セリ科シシウド属の植物)を加えて薬膳スープを飲むよう勧めました。すると、一週間も経たないうちに、ヘモグロビン値が正常に戻りました。

牛の尻尾、黄耆、当帰を煮込んだスープがなぜ貧血を改善するのでしょうか。この処方箋は13世紀の著名な医学専門家、李杲(りこう)氏の「当帰補血湯」がもとになっています。呉國斌氏の説明によれば、漢方医は血を補うにはまず気を補う必要があると考えています。黄耆は気を補い、当帰は血を補います。そのため、気を補うことで血を補う効果をより高めることができるのです。この処方箋は黄耆を大量に使用し、黄耆と当帰の使用比率はおよそ5:1だそうです。

漢方医は体内の尽きることのないエネルギーを「気」と呼んでいます。人の「気」は両親からのものと、栄養や酸素を取り入れることで得られるものと、2つがあると言います。
 

当帰補血湯(健康1+1/大紀元)

2つの食事療法 補血に役立つ

呉國斌氏は貧血患者に2つの食事療法を勧めています。上で挙げたように、黄耆、当帰、牛の尻尾のスープ、またはビーガン対応のお茶もあります。

1、血を補うスープ、がん患者の死亡率が低下!

材料:水1250㏄、黄耆30グラム、当帰6グラム、生姜10グラム(お好みで)

作り方:水、黄耆、当帰、生姜を沸騰後30分煮込んでから、あくを取り、煮込んだ牛の尻尾(約6〜8個)を加えて煮込む。

黄耆には気を補う作用があり、大病の後で疲れ弱っている患者によく効きます。無作為化二重盲検比較臨床試験によると、脳卒中後、体力が落ちたと感じる患者は、黄耆を服用することで疲労が回復し、生活品質も向上したといいます。がん患者の場合、黄耆を用いた薬膳スープを服用すると、死亡率が低下することが、多くの研究で明らかになっています。さらに、放射線治療による副作用も和らげる働きがあります。

当帰は一般的な血を補う、抗血液がん薬として用いられています。現代の研究によると、当帰には酸化防止剤、抗がん剤、免疫力を高めるなどの効能があるとされています。

2、血を補うお茶

牛の尻尾のスープが体に合わない方や、ベジタリアンの方におすすめしたいのがこのお茶です。

材料:人参(高麗など)10グラム、リュウガン3~5個、クコの実10グラム

作り方:人参、リュウガン、クコの実を入れ沸騰させる、またはお湯を注いで飲みます。もし服用後に口当たりが悪いようでしたら、10グラムのヤブラン(薬用植物)または玉竹を加えると良いでしょう。

リンゴ、赤ブドウ、ナツメ、クコの実、牛肉など赤色の食材は血を補う作用が比較的強く、多く食べることをお勧めします。しかし、がん患者の場合、赤身肉はがん症状の再発の可能性があるため、牛肉を摂りすぎないようにするべきでしょう。
 

人参補血茶(健康1+1/大紀元)

貧血を避けるための4つの簡単な方法

呉國斌氏は腸や胃の健康を保ち、貧血を避けるためには正しい食習慣を続けることが最も大切だと言っています。臨床結果から、消化系の問題が現れやすい二種類の人がいます。1つは、食べすぎの人であり、もう一つは食べるのが早すぎる人です。食べすぎは胃腸に損傷を与え、栄養素が吸収されにくいのです。また、食べるのが早い人は、十分に咀嚼が出来ていないため、摂取したものが吸収されず、腸道内で腐敗して様々な毒素が発生するのです。

以下は飲食における4つの注意事項:

1.バランスの取れた食事

中国医学書の『黄帝内経』によると、主食に穀物や雑穀を食べ、新鮮な野菜、果物やお肉、海鮮を副菜として毎日の食事に取り入れることで、バランスの取れた食事になるといいます。また呉氏は、野菜を多く食べることで腸が元気になるといいます。

2.腹七分目

毎回の食事は腹七・八分目を目安に、多少お腹がすいている程度に保ちましょう。

3.十分な咀嚼

食事中は十分な咀嚼を意識し、食べ物がある程度細かくなってから飲み込むようにしましょう。咀嚼回数が多いほど、唾液の分泌が増加します。唾液には消化を促進する酵素が含まれています。また、食事中は食事に集中しましょう。おしゃべりをしたり、携帯をみたり、テレビを見たりしながらの食事は避けましょう。

4.食後の適度な運動

食後はソファーに寝っ転がってテレビを見たりせずに、適度に歩きましょう。呉國斌氏は特に、普段家事をしない男性に、食後に皿洗いをするよう伝えています。奥様が喜ぶだけでなく、腸環境を整えるために動くことで、自身の消化にもつながります。

(完)

張曉慧